狙い:四国電力以外の仕事を開拓し、早期に売上高800億円を目指す
コスト:当初は7億円を予定していたが、10億円超となる見通し
IT:ERPのR/3とSFAのSiebelを導入。S I は富士通が担当

四国電力グループの総合エンジニアリング会社である四電エンジニアリング(本社高松市)は、2000年4月をメドに基幹業務システムを刷新する。

ERPとSFAで基幹システム刷新

 電力業界で規制緩和が進展していることを背景に、同社は現在全体の約55%を占める四国電力向けの売り上げを極力減らし、一般からの工事受注を拡大することが急務だ。営業から受注までの過程や実際の工事、さらに売り上げ回収に至る一連の業務プロセスを抜本的に効率化することで、競争力を高めて一般市場を開拓。現在約600億円の工事完成高を、2000年代の早期に800億円にまで増やすことを狙う。

 投資額は当初7億円を予定していたが、「10億円をはるかに超える見通し」(管理部情報システム課)という。

業務データの一元管理体制整える

 同社はこれまで営業や資材調達、会計など業務部門ごとに情報化を進めてきた。このために各部門でデータを連携させて業務を合理化しようとしても、不具合や応答速度の低下が起きて実現できなかった。

 収益力を高めるには、年間1万3000件ほどある大小様々なプロジェクトについて原価管理を個別に徹底して、予算超過などを防ぐ姿勢が欠かせない。しかし部門間のデータ連携が実現できていなかったために、「工事の進行にデータ処理が追いつかず、プロジェクトが終わってから原価がわかることも少なくなかった」(情報システム課)という。

 原価管理の精度を高めるには、設計図面や見積書の作成といった営業の過程で発生する原価情報も収集する必要があるが、その体制も整備できていなかった。

 新システムはこれらの問題を解決する。具体的にはERP(統合業務)パッケージを導入して全社的なデータの一元管理体制を整える。さらにSFA(セールス・フォース・オートメーション)向けのパッケージも導入。営業プロセスを詳細に管理することで、原価を把握できるようにする。

R/3とSiebelを導入

 ERPパッケージはSAPジャパンのR/3(WindowsNT版)を採用。具体的には財務/管理会計、購買管理、販売管理、人事管理、プロジェクト管理、債権/債務管理の各モジュールを導入する。

 SFAは日本シーベルのSiebelを選択した。約100人の営業担当者について、顧客との折衝履歴や活動内容を把握することで、効率的な営業計画の立案や原価収集に役立てる。

 システム・インテグレーションは、業務改革全般の提案力を評価して富士通に委託した。すでに大半のシステム開発を終えており、最終的なテスト段階に入っている。

 今後はワークフロー・システムとして富士通のTeamWARE Flowを導入する計画もある。

川上潤司 junji@nikkeibp.co.jp