テレビ会議システム大手の米ピクチャーテルの日本法人は,「ビジネスシヨウ 2001 TOKYO」で,6月15日発売予定のビデオ会議専用機「PictureTel 680」(PT680)を出展中だ。同製品の特徴は,既存の多くのビデオ会議製品とは異なり,ISDNだけでなくADSL(asymmetric digital subscriber line)経由でも利用できること。ビジネスシヨウではそのADSLへの接続デモンストレーションを披露している(写真)。

 同社は,東京・有明のビジネスシヨウ会場と東京・大手町のビル内にPT680を1台ずつ設置。これら2台のPT680をそれぞれ,ルーターを介してADSLモデムに接続している。ADSLサービスとしては,NTT東日本の「フレッツ・ADSL」を,インターネット接続サービスにはNTT-MEの「WAKWAK」を使う。双方のPT680に固定IPアドレスを割り振ることで,インターネット経由でのビデオ会議を実演した。実効速度は300kビット/秒程度で,そのうち24kビット/秒を音声伝送に割り当てているという。

 PT680は,ISDN,専用線,IPネットワークのいずれかに接続して利用できる。上位機種のPT900シリーズより拡張性を抑えることで,PT680は低価格化した。4月30日から出荷が始まった米国では,発売から2週間程度で700台以上の注文を受けているという。PT900シリーズが「164万円から」であるのに対し,PT680シリーズは「108万円から」と安い。

 今回の出展に先駆けて5月16日に開催したPictureTel 680の発表会の席では,藤原恒久ピクチャーテル日本法人営業部次長が,「PictureTel 680はISDNや専用線だけでなく,IPネットワークに対応しており,理論上はどの事業者のADSL回線でも作動する」と説明。今後,NTTグループ以外のADSL回線でも接続試験を行い,販売時の提案材料とする意向である。

(杉山 泰一=日経コミュニケーション)