郵政省は10月2日,光ファイバのアンバンドル(細分化)について10月11日に電気通信審議会に諮問することを発表した。

 光ファイバのアンバンドルとは,他社に光ファイバそのものを貸し出す「ダーク・ファイバ」や,一定の波長を貸す「波長貸し」などのこと。電気通信審議会の電気通信事業部会の接続小委員会は諮問を受け,NTT東西地域会社などが敷設した加入者線の光ファイバを他事業者に貸し出す際の条件について検討を始める。早ければ12月中にも,結論をまとめる計画だ。

 現在NTT地域会社は,敷設済みの銅線をxDSL(digital subscriber line)サービス向けに他事業者に貸し出している。MDF(主配線盤)で銅線を引き出して,他社の通信機器につなげる「MDF接続」という形態だ。ところが,NTT地域会社は加入者線の光ファイバ化を進めており,将来銅線は撤去される予定。xDSL事業者からは,MDF接続の後継として光ファイバを貸し出して欲しいという声が上がっている。

 さらにNTT地域会社は12月にも,光ファイバをユーザー宅に引き込むFTTH(fiber to the home)サービスを開始する。最大10Mビット/秒で,月額4000円台,1万3000円程度,3万円台の3メニューを提供する。9月28日に郵政省の電気通信審議会の部会が開いたヒアリングでは,「光ファイバのアンバンドルを直ちに実現してほしい」(日本テレコムの村上春雄社長),「NTT以外の事業者も,同じ条件でサービスを提供できるようにしてほしい」(KDDIの奥山雄材社長)などの要望が相次いだ。各社も,NTT地域会社のFTTHサービスと同様のサービスを提供したいためである。

 NTT地域会社も,光ファイバのアンバンドルを提供する方向性を打ち出している。もっとも,料金や接続形態などは未定。今後,郵政省での議論が進むにつれてFTTHサービスの普及や料金への影響も明らかになりそうだ。

(中川 ヒロミ=日経コミュニケーション)