DDIポケットは9月29日,音楽をはじめとする大容量コンテンツ配信サービス「Sound Market」(サウンド・マーケット)を11月30日から提供すると発表した。PHSを使った音楽配信サービスは,NTTドコモが5月末から試験サービスを提供しているが,実サービスではDDIポケットが先行した。

 Sound Marketは,PHSが備える64kビット/秒の高速データ通信機能を活用して,大容量コンテンツを短時間でダウンロードする。ダウンロードしたデータはPHS端末を介してメモリー・カードに保存し,再生する。対応端末は,11月8日出荷の三洋電機製のfeel H"端末「RZ-J90 Leje」に接続して使うリモコン・タイプ・プレーヤー「KdMリモコンタイププレーヤーRZ-RM1」や,11月30日出荷予定のプレーヤー一体型端末「RZ-J91 Leje」(写真)。年末までには他の端末メーカーも対応製品を出荷する見込み。

 サービス利用料金は,メニューの検索やコンテンツのダウンロードなどの際に使うPHSの通信料金(60秒13円)と,コンテンツの利用料金(200~400円程度)の合計になる。3分程度の曲をのダウンロードには7~8分程度かかるという。1曲ダウンロードするには,通信料が約100円,コンテンツ料が300円程度,合計400円程度が必要になる計算だ。

 Sound Marketの実現に当たっては,三洋電機と日立製作所,富士通,日本コロムビアの4社が開発した移動体端末向け音楽配信システム「ケータイ de ミュージック」を採用した。これは,(1)データ圧縮方式にMP3(MPEG1/audio layer 3),(2)コンテンツ保護技術に「UDAC-MB」,(3)暗号化・復号化機能を備えたセキュア・マルチメディア・カード(セキュアMMC)--を組み合わせたもの。インターネットで広く普及しているMP3を使うが,コンテンツの著作権保護の仕組みを備える。ダウンロードした音楽データなどを再生するには,再生用のライセンス・キーが必要。このため,パソコンや市販されているMP3プレーヤーではコンテンツを再生できない。

 サービス提供開始時点では,10~20のコンテンツ・プロバイダが約1500コンテンツを用意する。大半は音楽コンテンツとなるが,それ以外にも(1)落語や漫才などの娯楽系,(2)英会話講座などの教育系,(3)言語や方言などの言語系,(4)講話やインタビューなどの文化系,(5)波の音や虫の鳴き声などの自然系--など幅広い分野のコンテンツを提供する。2001年3月末の時点で,feel H"の獲得目標100万ユーザーのうち,3分の1程度がSound Marketを利用すると見込んでいる。

(川崎 慎介=日経コミュニケーション)