3200万の移動体ユーザーを抱えるNTTドコモと,全世界に2600万ユーザーを持つ大手インターネット接続事業者の米アメリカ・オンライン(AOL)が手を組んだ。両社は9月27日,iモードなどのモバイル・インターネットと固定回線を使ったインターネットを融合する新たなサービスの共同開発および提供に向けて提携した。

 両社はこの新サービスを「Fixed Mobile Convergence」(FMC)と呼ぶ。「いつでもどこでも,どのようなデバイスでも使えるインターネット・サービスの提供を目指す」(AOLのインターナショナル・プレジデント,マイケル・リントン氏)のが目的だ。

 FMCの開発・提供に向けて,両社は(1)NTTドコモがAOL日本法人のAOLジャパンに42.3%出資,同社の筆頭株主となる,(2)両社でFMCサービスの共同開発および海外展開を検討する「戦略事業委員会」を設置する,(3)FMCを実現するための技術やアプリケーションを有するベンチャー企業へ投資するための「共同投資委員会」を設置する--の3点で合意した。

 FMCの具体的なサービス・イメージは,AOLのメールをiモードでもパソコンでも読めるようにしたり,AOLが提供するインスタント・メッセージ(IM)機能をiモード上でも実現するというもの。AOL上のオークション・サービスをiモードからも使えるようにすることも検討している。「最初に日本でのサービス実現を目指し,その成果を見ながら海外への展開を図る。サービスは段階的に提供していく」(NTTドコモの辻村清行・国際ビジネス部長)と言う。まずは2001年前半に,iモード版の「AOLインスタント・メッセンジャー」とAOLアカウントの「無料電子メール・サービス」を提供する計画である。

(川崎 慎介=日経コミュニケーション)