富士通は9月25日,PHSを内蔵したノート・パソコン「LOOX」(ルークス)2シリーズ4モデルを11月初旬に発売すると発表した。モバイル環境で64kビット/秒の高速データ通信を実現するためDDIポケットと協力し,本体内にデータ通信専用のPHS「H"IN」(エッジ・イン)を内蔵するモデルを用意した。PHSを内蔵したノート・パソコンの発売は富士通が初めて。

 LOOXは米トランスメタの小電力CPU「Crusoe」(クルーソー)を搭載し,バッテリだけで最大8時間駆動する。携帯性を追求した「LOOX S」シリーズと,DVDドライブを搭載した「LOOX T」シリーズの2種類で構成し,それぞれにH"INモデルと,携帯電話との接続ケーブルを添付したモデム・モデルがある。価格はオープン。実売価格は「LOOX S」シリーズが16万円前後,「LOOX Tシリーズ」が21万円前後になる見通し。富士通は今後1年で,シリーズ全体で20万台の販売を目指す。

 H"INの最大の特徴は,DDIポケットの加入契約を容易にしたこと。通常,DDIポケットとのPHS回線の契約は,PHS端末を購入した店舗で手続きする必要がある。これをH"INでは,必要なときにパソコンからオンライン・サインアップできるようにした。画面上のアイコンをクリックして必要事項を記入すれば,DDIポケットのセンターに自動的に加入者登録され,同時にセンターから電話番号が端末に書き込まれる仕組みだ。

 DDIポケットはH"IN向けの料金プランとして,データ通信専用の「データパック」(月額3000円,うちデータ通信だけに使える無料通話分が1200円分)を推奨する。「H"IN搭載のLOOXを購入するユーザーの8割(約8万台)は,DDIポケットと契約してくれる」(DDIポケットの岡田健社長)と見ている。DDIポケットは,H"INを他社のノート・パソコンにも展開していく考えだ。

(川崎 慎介=日経コミュニケーション)