インターネットVPN(仮想閉域網)を導入すれば,小規模拠点や社員の自宅から,簡単かつ低コストで企業ネットに接続できるようになる。ただし,セキュリティ対策が万全でないと,外部からの攻撃にさらされる恐れがある。ユーザー側に導入するVPNクライアントやルーターなどの設定に注意が必要だ。

 ADSLインターネットの普及により,自宅のADSL回線経由で会社のネットワークにアクセスしたいというニーズが高まっている。最近では,インターネットVPNを導入して,社員が社内ネットに接続できるようにする企業が急増している。

 ただし,社員側のセキュリティ確保やVPNクライアント,ファイアウォール,ルーターの設定が不十分だと,思いもかけぬトラブルに見舞われる。

社員宅からウイルスが侵入
OSの差で設定ルールが効かず

インターネットVPNを使えば,安全に社員宅や出張先などの外部から企業にアクセスできる。ただし社員宅などの安全性に注意しないと,ウイルスが侵入して企業内に広がる恐れがある。ファイアウォールを導入して,セキュリティ対策を万全にすべきだ。

 製造業のA社では,営業スタッフなどの社員向けに,ADSLを使うインターネットVPNを導入。ADSL回線を引き込んだ社員の自宅から,インターネット経由でA社の社内ネットに接続できるようにした。

 社員のパソコンにVPNクライアント・ソフトをインストールし,A社のVPN装置との間はIPsecでデータを暗号化。VPN装置に接続する際は,ワンタイム・パスワードで社員を認証してセキュリティを確保した。

 社員の作業は,VPNクライアントの導入と簡単な設定だけ。高速にA社にアクセスできると好評だった。