島田 克彦氏 日本IBM ITS事業部ITプロジェクト推進 専任ITスペシャリスト

表1 C社はエンドユーザーがアクセスする場所ごとにあらかじめ設定を用意した
ノート・パソコンを利用する場所によって,設定を変えるのはエンドユーザーにとって面倒。A社は,「アクセス・コネクションズ」と呼ぶソフトを使って,場所ごとにあらかじめ設定情報を登録することにした。このソフトの導入で,エンドユーザーはロケーションを切り替えるだけで済むようになった。
SSID:service set identifier
WEP:wired equivalent privacy
DNS:domain name system DHCP:dynamic host configuration protocol
IE:Internet Explorer
VPN:virtual private network
写真1 C社が利用した「アクセス・コネクションズ」の設定画面

3面倒な移動のたびの再設定
専用ソフトで一発切り替え

無線LANを社内に導入すると,エンドユーザーはノート・パソコンを駆使するようになる。社内からだけでなく,自宅などから無線LANを使ってリモート・アクセスする社員も増える。だが移動先に応じてパソコンの設定を変更するのが面倒。ユーザーの使い勝手を高めるためには,切り替えソフトを使うのが効果的だ。

 システム・インテグレータのC社は半年前,無線LANを社内に導入した。当初ユーザーが無線LANを使うのは,社内だけだったが,家庭向け無線LAN製品や,無線LANアクセス(ホットスポット)・サービスの登場で,社外のあらゆる場所から無線LAN経由でリモート・アクセスする社員が増えてきた。

 そのため,システム部に対して「移動するたびに,Webブラウザやプリンタの設定を変更するのが面倒なため,何とかならないか」という問い合わせが来るようになった。アクセス元が変われば,WindowsパソコンにインストールしたWebブラウザ「Internet Explorer」のプロキシDNSの設定変更が必要になる。

場所ごとの設定を事前に登録しておく

 そこでC社は,アプリケーションごとに複数の設定をあらかじめ登録し,必要に応じて簡単に設定を切り替えられる「プロファイル切り替えソフト」を使うことにした。

 C社が社員に配布していた米IBMのノート・パソコン「ThinkPad」には,「アクセス・コネクションズ」と呼ぶプロファイル切り替えソフトが付属している。アクセス・コネクションズの設定画面を開き,場所ごとにプロキシのアドレスや使用するプリンタ,無線LANで使う暗号キーなどを登録。「Office」の場合はプロキシを使用,「Home」の場合はプロキシを使用しない代わりに,VPN(仮想閉域網)ソフトを起動するように設定した(表1[拡大表示],写真1[拡大表示])。

 C社は,社員に配布する無線LANの運用マニュアルの中に,新たに切り替えソフトの使用の推奨とその設定方法を記述した。無線LANを使う社員は,移動先の場所に応じて,このソフトを開きロケーションを選択するだけでよくなった。