真鍋 浩氏 日本IBM ネットワーク・サービス事業部 ソリューション推進・マーケティング

急速に普及し始めている無線LANを企業ネットで利用するには,機能を踏まえた製品選びと,機器の性能を発揮させる設定・運用方法が重要になる。配慮するべきポイントは,セキュリティのレベル,大規模利用時の運用コスト,性能を発揮させる機能や運用の3点。4回を通じてそのコツを解説する。

 現在,無線LANで最も普及している規格は,2.4GHz帯の電波を使うIEEE802.11bである。Wi-Fiロゴを取得した製品ならば相互接続性が保証されているため,どの製品を選んでも大差はないように思いがちだ。

 しかし,用途によって,備えるセキュリティのレベルや通信性能を発揮する付加機能などには大きな差がある。低価格というだけで家庭向けの製品を企業ネットで採用すると,後々トラブルに見舞われる原因になる。

接続端末の集中で応答性低下
ロード・バランスで平均化

企業内で無線LANを使う場合,広いオフィスにアクセス・ポイントを面的に設置する場合が多い。この際,各端末のスループット向上に役立つのが,接続端末の割り振りを動的に変える自動ロード・バランス機能。各アクセス・ポイントで発生するトラフィックを平均化する。アクセス・ポイントの電波出力の調整も有効である。

 総合商社のA社は半年前,本社オフィスに無線LANを導入した。社内横断のプロジェクトが増えており,「ノート・パソコンを持ち歩き,他の部署との業務をその場でこなす」利用形態を推奨。生産性の向上を期待した。