茂手木 昌洋 富士通 システムサポート本部ネットワークサポート統括部ネットワークシステムサポート部

表1 ギガビット・イーサネットで使用する光ファイバの種類
 ギガビット・イーサネットで使用する光ケーブルには,シングルモード・ファイバが1種類,マルチモード・ファイバが2種類ある。それぞれ,光ケーブルのコア直径や最大接続距離が異なる。

機器によりパッチ・コードが必要

 そもそも,ギガビット・イーサネットで使用する光ファイバには,MMF以外にシングルモード・ファイバ(SMF)がある。違いはコア直径で,MMFにはコア直径が50マイクロmと62.5マイクロmの2種類が,SMFは10マイクロmの1種類がある(表1[拡大表示])。

 光ファイバを使うギガビット・イーサネットは,長波長光を使う1000BASE-LXと短波長光を使う1000BASE-SXの2種類。コア直径の違いに関係なくMMFは1000BASE-LXと1000BASE-SXに,SMFは1000BASE-LXだけに適用できる。

図3 B社はギガビット・イーサネットを導入するにあたって,マルチモード・ファイバ(MMF)だけでなく「モード・コンディショニング・パッチ・コード」を併用した
 B社の通信機器は1000BASE-LX対応だった。1000BASE-LX対応機器をMMFで接続する際は,パッチ・コードが必要になる。パッチ・コードは,通信機器から送出される光信号の入射角度をずらすことによって,光信号がファイバ中を適切に反射しながら進むようにする役割を果たす。
 実は,B社が通信不能に陥ったのは,MMFの両端に「モード・コンディショニング・パッチ・コード」を接続しなかったからだ。1000BASE-LXでは,MMFをパッチ・コード経由で通信機器に接続する必要がある(図3[拡大表示])。パッチ・コードは,MMFとSMFをその中間で接続した光ケーブル。通信機器から送出される光信号を適切に伝送するために,いったんMMFよりもコア直径の小さいSMFを経由させる役割を持つ。一方,MMFを1000BASE-SX対応機器に接続する際や,SMFを1000BASE-LX対応機器に接続する際は,パッチ・コードは必要ない。

 パッチ・コードは,接続時にも注意が要る。パッチ・コードは左右対称ではなく,装置側と光ケーブル側の接続方向が決められており,逆に接続しても効果がない。パッチ・コードを接続してもうまく通信できない場合は,逆向きに接続していないかどうかを調べた方が良いだろう。