茂手木 昌洋 富士通 システムサポート本部ネットワークサポート統括部ネットワークシステムサポート部

図4 A社のケースでは最適な通信モードを自動選択する機能「オート・ネゴシエーション」がうまく働かなかった
 オート・ネゴシエーション機能は,FLP(fast link pulse)という通信モード情報を含む信号を接続する機器間で交換することで実現。A社のケースでは,一部の端末は「100BASE-TXで全2重通信」という通信モードだったため,FLP信号の代わりにアイドル信号を利用したが,結局通信モードは不一致になってしまった。bpsはビット/秒。

機器選定時に対応モードを確認

 つまりA社のケースでは,スイッチング・ハブはパラレル・ディテクション機能を使ってクライアントからのアイドル信号を自動検出した後,100BASE-TXで半2重通信という通信モードを自動選択する。しかし,クライアントの通信モードは100BASE-TXの全2重通信。つまり,スイッチング・ハブとクライアントは通信モードの不一致を起こしたまま,リンクを確立してしまう(図4[拡大表示])。

 結局,A社はスイッチング・ハブの通信モードをオート・ネゴシエーションにしたいなら,クライアントの通信モードをオート・ネゴシエーションか,100BASE-TXで半2重通信の固定設定にしておくべきだったのである。

 A社のケースとは異なるが,新しい機器と古い機器の接続時に,双方がオート・ネゴシエーションに設定していても通信に不具合が発生してしまうことがまれにある。この場合は,より対線ケーブルを交換したり,接続機器間の通信モードを双方とも固定設定にすることで,解決できることが多い。

 万が一に備えて,製品の購入前に,固定設定が可能であるかどうかを確認しておいた方が良いだろう。オート・ネゴシエーションしかサポートしていない製品もあるからだ。