航空測量最大手のパスコが独SAPのERPパッケージR/3の6モジュールを8カ月で導入した。導入したのは,FI(財務会計),CO(管理会計),SD(販売管理),MM(購買管理),PS(プロジェクト管理),HR(人事管理)。6モジュールを一斉導入する,いわゆる“ビッグバン”方式をとり,4月から稼働させている。利用者数は全社員1300人。R/3は日本IBMのUNIXサーバー機RS/6000 S80上で動かす。システム投資額は約8億円。

 パスコのCIOである小松崎常夫常務は,「年度が切り替わる4月に新システムを稼働させることを最優先し,R/ 3のカスタマイズやアドオンを極力しない方針を貫いた」と説明する。

 プロジェクトは1999年8月に開始した。ビッグバン方式での導入を決断したのは,パスコの大嶽貞夫社長である。大嶽社長は鐘紡の情報システム事業責任者,セコム情報システム(東京都三鷹市)の社長などを歴任しており,情報システムに詳しい。

 パスコは1999年6月にセコムのグループ会社となった。「セコムも基幹システムとしてR/3の導入を進めており,グループ経営を進めるために基幹系システムをR/3で統一したほうが得策と判断した」(小松崎常夫常務)。

 システムの導入作業は,パスコの若手社員と,中央クーパース・アンド・ライブランド(現プライスウオーターハウスクーパースコンサルタント)のコンサルタントが担当した。「利用部門にいる平均年齢30歳の若手8人を半ば強引に引き抜き,プロジェクトに参加させた」(小松崎常務)。パスコは中央クーパースの経験を評価して委託した。中央クーパースはパスコと同業の国際航業のR/3プロジェクトで実績があった。

(戸川 尚樹)