デルコンピュータ(川崎市)は,製品を発注した顧客に対して電話で納期を回答する「デル・オーダーステータス・ボイスレスポンス・サービス」に音声認識システムを導入,1999年12月から運用を開始した。製品の注文番号やパスワードを顧客が電話口から音声で入力すると,製品の生産・配送状況や配達予定日を音声で回答する。電話による納期回答システムで,音声入力が可能なシステムは珍しい。デルにとっても,顧客からの問い合わせ業務に音声認識システムを導入したのは,世界中で日本法人が初めてだという。

 現在,デルへの納期問い合わせは,電話とWebを合わせて1日当たり約3000件ある。電話による同サービスは,プッシュ・トーンを使えば24時間の利用が可能だ。しかし,オペレータの対応が必要な音声による問い合わせを利用できるのは,営業時間内に限られていた。音声認識システムを導入することで「音声による問い合わせに対しても,24時間いつでも納期情報を提供することが可能になった」(新に良ら清オペレーション本部長)。電話応答を自動化し,オペレータの人件費を削減することも狙いの一つだ。

 音声認識ソフトには,米ニュアンス・コミュニケーションズの「Nuance 6」(国内ではオムロンが販売)を採用した。1台のWindows NTサーバーで稼働させている。顧客が入力した音声の認識率は90%以上だという。9ケタの注文番号をシステムが一度で認識できなかった場合は番号を分割して入力する仕組みをとっている。この結果,「最終的な認識率はほぼ100%だ」(新良本部長)。デルは今後,ハードウエアの故障問い合わせサービスなどにも,音声認識システムを導入していく予定。

(玉置 亮太)