担当者一人ひとりの言動が、顧客満足度を大きく左右する時代がやってきた。ユーザー企業もベンダーの名前にとらわれず、担当者の力量や過去の実績を冷静に評価する必要がある。今後の顧客満足度を左右するポイントをユーザーの証言を交えて報告する。

(福田 崇男、玉置 亮太)

 ここ数年、ITベンダー各社は全社を挙げて顧客満足度(CS)向上に取り組んできた。その取り組みが実を結び、各社の顧客対応のレベルは、確実に底上げされている。

図1●こんなベンダーは嫌われる。調査結果から、「嫌われるベンダー」の条件が見えてきた
 結果として、今回の顧客満足度調査は、上位グループと下位グループの差が以前に比べて小さくなった。例えば「システム構築関連サービス」。現在とほぼ同じ方式で調査した第7回(2002年4月実施)は、ランキング対象企業の首位と最下位(8位)の間には、21.1ポイントの差があった。これが今回は9.3ポイント差に、ランキング対象8社がひしめいている(情報サービス会社の場合)。

 もちろん、すべてのユーザー企業が満足しているわけではない。それどころかユーザー企業がベンダーを見る目は、いっそう厳しさを増している。

 1535社の回答企業から寄せられたコメントを見ると、ユーザー企業の怒りの声の多さに驚く。全体的に対応レベルが上がった結果、ユーザー企業はベンダーの担当者のミスや不誠実な応対をこれまでのように看過せず、非常に厳しい評価を下すようになった。

 今後は第一線の担当者一人ひとりの言動が、顧客満足度を左右する比率がいっそう高まる。ベンダー各社は「現場のつまらない失点を防ぐ」という観点から、全社のCS向上に向けた取り組みをもう一度見直すべきだろう。一方、ユーザー企業はベンダーの名前だけにとらわれず、担当者の力量や過去の実績を、冷静に評価する必要がある。