富士写真フイルム(富士写)は2003年12月15日、インテルの64ビット・プロセサ「Itanium2」搭載サーバーを使ったデータ・ウエアハウス・システムを本番稼働させた。Itanium2サーバーを業務系システムに適用した事例はまだ少ない。OSに64ビット版Windowsを使ったのは富士写が国内で初めてだ。

図●富士写真フイルムがItanium2サーバーを導入した背景
 富士写真フイルムは製品の販売/会計データを蓄積するデータ・ウエアハウス・システムにItanium2サーバーを採用した。NECの大型サーバー、Express5800/1320Xd(24プロセサ構成)を5区画に分け、1区画をデータベース・サーバーに、4区画をアプリケーション・サーバーとして使う。2001年8月にPentiumIII搭載サーバー計11台で構築したシステムを再構築した。

 併せてサーバーOSをWindows NT4.0とWindows2000から64ビット版のWindows Server 2003に、データベース・ソフトをOracle8iから64ビット版のSQL Server 2000に切り替えた([拡大表示])。アプリケーション・サーバーで動くSAPジャパンの分析用ソフト「SAP BW」のバージョンも「2.0」から「3.1」に上げた。

 Itanium2サーバーは2002年半ばから出荷されているが、国内で本番稼働している事例のほとんどは科学技術演算用途。「業務系システムに適用したのは富士写を含めても5~6件。OSにWindows Server 2003を使った事例は富士写が国内で初めて」とインテル日本法人の担当者は打ち明ける。富士写以外の業務系の事例は「OSとしてHP-UXかLinuxを使っている」と付け加える。マイクロソフトは2003年6月にWindows Server 2003を国内で出荷開始するまでは、64ビット版Windowsを正式に用意していなかった。

 富士写は4Gバイト超の主記憶を利用可能な64ビット環境に低コストで移行できる点を評価して、Itanium2とWindowsの組み合わせを選択した。データベース・サーバーの区画には32 Gバイトの主記憶を割り当ててあり、レスポンスの向上が期待できる。

 利用が本格化するに伴って、32ビット環境の既存システムは徐々にレスポンスが悪化していた。「ピーク時には、システムが不安定になることもあった」(システム子会社である富士フイルムコンピューターシステムの小松日出雄社長)という。2003年11月からデータ・ウエアハウスに補修部品関連の販売/会計データを蓄積するのを期に、システム構成の変更を決めた。

 富士写にはUNIXサーバーという選択肢もあったが、「初期投資を抑えられると考えてItanium2サーバーを選んだ」(富士フイルムコンピューターシステムの小松社長)。ただし同社はシステム構成の変更コストを公表していない。

 システム構築にはインテル、マイクロソフト、NEC、SAPジャパンが協力した。データ移行にはセイコーアイテックが参加した。

(矢口 竜太郎)