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オラクルが“10g”の低価格版を投入へ中堅・中小企業の攻略に本腰
出典:2003年10月20日号
12ページ
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
日本オラクルが、Oracle10gで狙うデータベース市場は二つ。一つは同社がエンタープライズ・グリッドと呼ぶ技術を活用し、複数台の低価格なサーバー上でOracle Database10gを動作させる大規模システムの導入を進めることだ。 もう一つ、日本オラクルが重視しているのが、Windows版のOracle Database10gを中核とした中堅・中小企業向け市場である。数年前まで日本オラクルのデータベースは、中堅・中小企業向けを中心とするWindows版の市場でも首位を確保してきた。だが、最近ではマイクロソフトのSQL Serverに金額のシェアで逆転された。この分野で再逆転を目指す。 米国で低価格製品を販売中堅・中小企業向け市場への販売強化は、日本オラクルにとって以前からの課題だった。これまでオラクルのデータベースは、「価格が高い」、「扱いづらい」といった評価を受けており、なかなか中堅・中小企業での導入が進まなかったからである。 実は日本でのOracle10gの発表から2日後の10月8日、米オラクルが中堅・中小企業向けに特化した、リレーショナル・データベースの低価格な新料金体系Oracle Standard Editon Oneを発表している。現時点では、米国での価格しか分からないが、プロセサ・ライセンスが5995ドル、指名ライセンスが1人につき195ドル(ただし、最低5人以上で利用する)である。機能に制約はないが、データベースを動作させるサーバーのプロセサ数を1個に限定する。従来のOracle9i Database Standard Editionの価格は、プロセサ・ライセンスが1万5000ドル、指名ライセンスが1人当たり300ドルだったが、プロセサ・ライセンスで約60%、指名ライセンスで35%引き下げた。 日本オラクル関係者は、「日本でも10万円を切る低価格を設定することも検討している」と打ち明ける。ただし、日本オラクル広報は、「日本でのOracle Standard Editon Oneへの対応時期は、現在検討中」としている。 導入・管理なども容易にOracle Standard Editon Oneの導入によって価格競争力を高めるだけでなく、Oracle Database10gでは導入、管理の手間も減らした。従来版のデータベースであるOracle9i Databaseはインストールに数時間かかり、数枚のCD-ROMを利用する必要があった。これがOracle Database10gでは1枚のCD-ROMに抑えた。インストールに必要な時間を20分ですむようにした。さらにインストールに必要なパラメータの数を一気に数百から30程度に減らした。 インストールした後は、GUI操作で運用できるようにしたほか、自動化を進めた。日本オラクル関係者は、「当社の従来のデータベースは、大規模システムで運用することに注力しすぎて、どんどんプログラムの容量が大きくなっていた。これに対して、10gは中堅・中小企業が利用することを前提に開発を進めてきた。その成果が表れている」と話す。 もう一つ、日本オラクルが期待するのが、Database10gと同時に発表したHTML DBである。マイクロソフトが中堅・中小企業向け市場で強い理由として、SQL Serverだけでなく小型データベース・ソフトのAccessを販売していることがある。これに対して、オラクルは小規模なアプリケーション開発に向いたソフトを持っていなかった。この分野をHTML DBでカバーする。 さらにISV(独立系ソフト会社)への働きかけも強化する。日本オラクルは、今年1月からOracleDirectと呼ぶ電話セールスを開始している。この電話セールス部隊をISVの開拓に活用する。 NT+Oracle7のリプレースを狙う中堅・中小企業向けの市場攻略と関連して、日本オラクルが注目しているのが、OSにWindows NT、データベースにOracle7やOracle8を使っている業務システムである。特に中堅・中小企業では、情報化資金が潤沢でなかったこともあり、長期間にわたって同じデータベースを使い続けているケースが少なくない。こういったシステムのリプレースを狙う。日本オラクルは、Oracle10gの出荷に併せて、移行ツールを無償で提供する。 日本オラクルの挑戦を受ける立場のマイクロソフトの寺田和人サーバープラットフォームビジネス本部エンタープライズサーバー製品部SQL Serverグループマネジャーは、「実際に製品が出荷されたわけではないので、細かな機能比較などはできないが、たとえライセンス料が安くなったとしても、年間の保守料などを含めてTCO(システムの総コスト)の面から考えるべきだ」と話す。 日本オラクルは、ライセンス料以外に毎年定価の22%という保守料金を支払う必要がある。保守料金を支払わなければ、修整ソフトの適用を受けることもできない。これに対してマイクロソフトのSQL Serverには、こうした保守料金は存在しない。 寺田マネジャーは、「中堅・中小企業向けとはいえ、プロセサ数が1個に制限されていることのデメリットもある。また、ISVへの取り組みでは当社がオラクルをリードしている。何年も前から業務パッケージとSQL Serverを組み合わせる場合には、一般の製品を購入するのに比べて安価になるプログラムを実施するなどしてきた成果だ。それから、HTML DBについて言えば、わざわざAccessを利用して作ったシステムを別の製品で書き換えようと考える開発者が大量にいるかどうか疑問だ」という。 NT+Oracle7の市場にはマイクロソフトも注目している。早ければ年内にも、Windows NTとOracle7やOracle8で構築したシステムから、Windows Server 2003とSQL Server 2000の組み合わせに移行するための支援ツールやコンサルティング・サービスなどを発表すると見られる。 日本オラクル、マイクロソフトに続くデータベース・ベンダーである日本IBMも、中堅・中小企業向け市場の攻略に力を入れている。すでに日本IBMは今年6月に、価格を従来の約6割に引き下げた廉価版のデータベースであるDB2 UDB Express Edition V8.1を投入している。 (中村 建助)
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