ICタグで「万引き防止」(上)出版業界がベンダーと組み、コンソーシアム結成
ICタグ技術協力企業コンソーシアムの主な任務は、ICタグの導入を図るICタグ研究委員会に対し、具体的にICタグの導入方法や導入時の効果を提案すること。ICタグ研究委員会は集まった提案内容を基に、出版業界におけるICタグ導入の可否を検討する。 コンソーシアムの会員企業は80社。日立製作所やNTTデータといったベンダーが過半数を占める(表[拡大表示])。一つの業界がICタグの導入を目指してベンダーを巻き込み、組織的に活動するのはこれが初めてのケースである。 業界全体でメリットの享受を期待出版社や取次店の煩雑な物流業務を効率化したい。書店での万引きを防止したい―。出版業界にとって、この二つは長年の“悲願”である。だが実際には、ほぼ手付かずの状態だった。
出版業界が他の業界に先駆けてICタグ導入に向けて動き出したのは、「ICタグを導入すれば、これらの問題を解決できるかもしれない」という期待感が大きな理由だ。実現できれば、業界を構成するすべての企業がメリットを享受することになる(図1[拡大表示])。 特に、書籍の万引きは深刻な問題だ。書店で盗んだ人気タレントの写真集やコミック本を古書販売店に持ち込み、転売して現金を得るといった犯罪が多発している。経済産業省によると、1店舗当たりの平均被害額は毎年増加しており、昨年には210万円を超えた。 出版業界は現在のところ、書籍の万引きを食い止める効果的な手だてを持っていない。だが、ICタグを書籍の一つひとつに取り付けることで、この問題を解決できる可能性が高い。 例えば書籍の販売時に、書店側で「リーダー/ライター」と呼ぶ装置を使ってICタグの情報を読み取り、これを古書販売店と共有する。古書販売店は顧客が持ち込んだ書籍のICタグの情報を読み取り、共有している情報に該当するものがあるかを調べる。一致しなければ「万引きの疑いがある」として買い取りを拒否する。こうして盗品を現金化する方法を断てば、万引きによる被害の減少を期待できる。 (栗原 雅)
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