日本IBMが中堅・中小企業に対する販売強化に乗り出した。「e server iSeries(旧AS/400)」を販売するパートナ企業向けの支援策を拡充した。ERPパッケージを動かす設定をあらかじめ施した機種を発売したほか,特定用途向けに複数ソフトウエア製品を組み合わせたメニューを用意した。
「iSeriesを導入している中堅・中小企業は,まだほんの一部。残る市場を開拓するには,iSeriesをもっと簡単に導入できる仕組みを整える必要がある」。日本IBMでiSeries関連の事業を統括する花井貢ミッド・マーケット・サーバー事業部長は,9月に入って打ち出した二つの販売パートナ支援策の狙いをこう説明する。同社はiSeriesの中堅・中小企業向け販売を,原則としてパートナに任せる方針を打ち出しており,いっそうの拡販にはパートナ支援策の拡充が不可欠と判断した。「ひと口にパートナといっても千差万別。なかには技術力不足が原因で,商談が進まなかったり,導入作業に手間取るパートナもある」と花井事業部長は打ち明ける。
パートナ支援策の一つは,中堅・中小企業向けのEPRパッケージ(統合業務パッケージ)向けに最適化した機種を用意したこと。日本ジェイ・ディ・エドワーズ(JDエドワーズ)の「OneWorld」,または「WorldSoftware」の動作を前提に,ハードウエア構成やソフトウエア設定をあらかじめ最適値にしたiSeriesのローエンド機(モデル270)を9月28日から出荷した。価格も通常製品より15%程度安くした。「iSeriesのハードウエアは,プロセサ数やメモリー容量などによって約1万通りの構成がとれる。パートナによっては,導入するソフトウエアごとに最適な構成を発見するのに手間取るケースもあった」(花井事業部長)。日本IBMは,JDエドワーズ以外のベンダーとも組んで,同様の最適化を施した機種を投入する方針だ。
もう一つのパートナ支援策は,9月3日に発表した「IBM 新Start Now ソリューション」と呼ぶソリューション商品である。これは複数のソフトウエア製品を用途別に組み合わせた上で,導入/構築/保守サービスとセットで提供するというもの。当初は8種類のメニューを用意した(表)。
この支援策の狙いは,「あらかじめ目的に合ったソフトウエアを提示した上で,日本IBMが動作検証をすませておき,パートナの負担を減らす」(ソフトウェア事業部でマーケティングを担当する北澤治郎部長)ことにある。メニューごとに,詳細な導入/構築/保守マニュアルを用意するのも,そのためだ。「少しでもパートナが困らないよう,詳しすぎるぐらいのマニュアルを作成した」(同)という。
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表●日本IBMは「e server iSeries」を販売するパートナ向けの販売支援策「新Start Now ソリューション」を打ち出した。顧客の用途別に,複数ソフトウエア製品を組み合わせたメニューを用意する |