東芝とNECが企業向けのPDA(携帯情報端末)市場に本格参入する。両社とも企業利用を想定して拡張スロットを二つ備えた製品を投入,先行メーカーを追撃する。PHSカードで無線通信をしながら,大容量メモリー・カード上の業務アプリケーションを実行する,といった使い方ができる。
![]() |
写真●東芝の企業向けPDA「GENIO e」 |
企業向けのPDA市場があわただしくなってきた。製品化で先行したパームコンピューティングやシャープ,コンパックコンピュータなどを追って,東芝とNECの2社が本格参入するからだ(表)。
東芝は7月16日,企業向けPDA製品「GENIO eジェニオイー」を発表した(写真)。同社の溝口哲也専務は,「メイン・ターゲットは法人およびビジネス・コンシューマ」と言い切る。東芝は,伊藤忠テクノサイエンス(CTC),日本ユニシス,野村総合研究所(NRI)など10社のシステム・インテグレータと協業して,GENIO eを企業に売り込む。発表会にはCTCの後藤攻社長も出席し,「今後はGENIO eを使ったシステムを企業ユーザーに積極的に提案していく」とエールを送った。
一方,NECは7月9日,企業向けPDAを年末までに製品化する意向を表明するとともに,試作機を公開した。NECソリューションズの富田克一執行役員常務は「企業でのPDAの利用はまだまだこれから伸びる分野。製品化が遅れた分は,今からでも十分に取り返せる」と自信を見せる。
東芝とNECのPDAの仕様はよく似ている。両社ともプロセサにインテルのStrongARMを,OSにマイクロソフトのPocketPC(WindowsCE3.0のPDA向け版)を採用する。
拡張性の高さを売り物にしている点も同じだ。両社とも,コンパクト・フラッシュ(CF)カード用とSDメモリー・カード用の二つの拡張スロットをPDA本体に装備する。これにより「CFカード・スロットに装着したPHSカードで本社サーバーと通信しながら,SDメモリー・カード上の業務アプリケーションを実行する」といったことが可能になる。
CFカード・スロットには,PHSカードのほかにも,小型ハードディスクや,バーコード・リーダー,LANカード,デジタルカメラといった周辺機器を装着できる。
東芝とNECは「拡張スロットが一つしかないPDAは,周辺機器を装着すると,本体に内蔵する。限られたメモリー容量の範囲でしかアプリケーションを実行したり,データを保存できない」と主張している。
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
表●東芝とNECは業務利用を狙ったPDA(携帯情報端末)を相次いで投入する |