電子商取引などで取引先企業や利用者の“身元”を保証する「認証局」が,4月の「電子署名法」施行で,より重要な役割を果たすようになった。企業独自の認証局を構築・運用するためのソフト製品やサービスを提供している主要ベンダーは,大手システム・インテグレータとの連携を強めるなど,ビジネスに本腰を入れ始めた。構築した認証局の信頼性の高さを示す「政府認定」を受けられるように,コンサルティング・サービスにも注力する。

表1●認証局を構築・運用するためのソフト製品やサービスを提供する主要ベンダー3社の最近の動き

 金融機関をはじめとする民間企業や業界団体などが,独自の「認証局(Certificate Authority)」を構築・運用しようとする動きは,すでに昨年から始まっている。電子商取引サイトなどで取引先企業や利用者の“身元”を保証する認証局を,自ら構築・運用することで,サイトの信頼性をより高めることが狙いだ。こうした状況を商機と見て,認証局を構築・運用するためのソフト製品やサービスを提供している主要ベンダーが,今年3月から4月にかけて立て続けに新戦略を発表した(表1[拡大表示])。

 日本ベリサイン(神奈川県川崎市)とエントラストジャパン(東京都文京区)は,システム・インテグレータとの連携を大幅に強化することで,企業や団体による認証局構築を促進しようとしている。日本ベリサインは,認証局構築のための基盤サービス「ベリサイン・オンサイト」を使ったシステム構築のパートナとして,新たにNTTデータや新日鉄ソリューションズ(旧・新日鉄情報通信システム),電通国際情報サービスなどと提携。パートナを従来の6社から21社へ一気に拡大した。エントラストも,同社の認証局構築ソフト「Entrust PKI」を使ったシステム構築のパートナとして,新たにKDDIや日本総合研究所(東京都千代田区),ソフトバンク・コマース(東京都中央区)など6社と提携。パートナを合計15社に増やした。

(西村 崇)