スーパーマーケットなどが展開するインターネット・ビジネス「ネットスーパー」が,ようやく軌道に乗り始めた。会員獲得のペースが上がり,平均購入額も徐々に増加。特に実際の店舗と連携する「クリック&モルタル型」のネットスーパーは,先行する西友を追ってイトーヨーカ堂が参入するなど,動きが激しくなってきた。各社は,広告チラシに印刷したバーコードを使って利用客が注文できるようにするなど,客層を広げる工夫を凝らしている。

 食品や日用雑貨など,スーパーマーケットで売られている商品の注文をインターネットで受け付け,即日または翌日に宅配するサービス「ネットスーパー」が活気づいてきた。

図1●イトーヨーカ堂が3月1日に開始したネットスーパー「アイワイネット」のホームページ(左)
現在は葛西店のある東京都江戸川区にサービス地域を限定している。同店は新聞に折り込んで配る広告チラシの特売品欄などにバーコードを掲載(右)。これをパソコン用バーコード・リーダーで読み取ると,その商品を注文するWeb画面が表示される
 2001年3月1日にネットスーパー事業「アイワイネット」をスタートさせたイトーヨーカ堂は,開始から1カ月間で約2000人の会員を獲得(図1[拡大表示])。当初の目標だった「1カ月で1000人」を大幅に上回った。

 「西友ネットスーパー」を2000年5月から運営している西友も,「2001年に入ってから会員数が急増し始めた。1月末に1万人を突破し,その後も毎月800~1000人程度増えている」(広報室)。3月末時点での会員数は約1万2000。現在サービスを提供している地域の世帯数は132万なので,その1%弱を会員として獲得したわけだ。

クリック&モルタル型が増加

 当初ネットスーパーは,専業のベンチャー企業による「ドットコム型」が中心だった。ネットスーパー専用の配送センターを設け,そこから商品を利用客の自宅に配達する形態だ。

 だが2001年に入ってから,実際の店舗から商品を配達する「クリック&モルタル型」のネットスーパーが増えてきた。先行していた西友を追って,クイーンズ伊勢丹(東京都新宿区)と提携したベンチャーのエブリデイ・エクスプレス(東京都千代田区)が2001年1月に参入。続いて3月に,イトーヨーカ堂が満を持して加わった。

 一般的なインターネット通販と比べた,ネットスーパーの大きな特徴は,早ければインターネットで注文を受けた当日に商品を配達することだ。特に「クリック&モルタル型」では,実際の店舗から商品を配達するので,利用客に届くまでの時間が非常に短い。

 生活協同組合の一部も,食品や日用雑貨の宅配サービスの注文をインターネットで受け付けているが,配達が週1回に限られてしまう。コンビニ各社が取り組んでいるEC(電子商取引)は,店舗で扱っていない商品を対象にしている点や,利用客が商品を受け取るために店舗まで足を運ぶ必要がある点が,ネットスーパーと大きく異なる。

(中村 正弘)