マイクロソフト日本法人が「Windows95離れ」を加速している。同社は,6月までに出荷する統合オフィス・ソフトの次版「Office XP」の動作対象から,Windows 95を除外した。バグ修正ファイルの提供も年内で終了する。Windows95ユーザーは,いよいよ見捨てられようとしている。

図●マイクロソフト日本法人はOffice XPの動作OSから,Windows95を除外した。Office 95からOffice XPへのアップグレードもできない

 マイクロソフト日本法人がWindows95を葬り去ろうとしている。同社は4月2日,主力製品の統合オフィス・ソフト「Office」の次期バージョン「Office XP」を今年6月までに出荷すると発表し,製品の詳細を明らかにした。

 しかしOffice XPの動作OSリストには,Windows95の名前は見あたらない。マイクロソフトはWindows NT 4.0/2000やWindows98/Meなどの,現役または一世代前のOSの上でしか,Office XPの動作を保証しない([拡大表示])。つまりOffice XPを使いたいWindows 95ユーザーは,OSのバージョンアップを余儀なくされる,ということだ。現行のOffice2000の動作OSには,Windows95も含まれていた。

 マイクロソフトのWindows95離れを示す動きは,これだけではない。Windows95のバグ修正モジュールの提供は,年内で打ち切られることが決まっている。その後も,マイクロソフト日本法人は,有償サポート契約を結んでいるWindows95ユーザーには技術サポートを続ける。ただし,その内容はバグ回避策の提示などにとどまる。Windows95の新たなバグが発見された場合でも,マイクロソフトは原則としてバグを修正しない。

 マイクロソフトは一連の措置の理由として,「企業ユーザーが導入するWindows製品がWindows2000などの新製品に移行している」ことを挙げる。同社の御代茂樹Windows製品部長は,「昨年末の時点で,企業向けに新規出荷するWindowsのうち,Windows 95の割合は1%程度に過ぎなかった」と語る。

 だが,現在もWindows95を使っているユーザー企業は多い。確かにWindows95の国内出荷は1995年11月と古いが,後継OSのWindows98が1998年7月に登場した後もしばらくの間は,企業ユーザー向けクライアントOSの主役だったからだ。

 企業内ではたくさんのWindows95パソコンが,まだまだ現役で活躍している。今でも1700台のWindows95パソコンを社内で利用している,ある大手サービス業のように,「クライアント・パソコンのOSはWindows95でまったく支障がない」(このサービス業の情報システム担当者)と判断している企業は少なくないはずだ。

 企業ユーザーの多くは,Windowsのバージョンアップを1~2年間隔で繰り返すマイクロソフトを,苦々しく思っている。ある大手製造業の情報システム担当者は,「企業は3~5年の範囲で,システムの投資計画を立案する。このサイクルをもう少しマイクロソフトが意識してくれないと,Windowsのバージョンアップに付いていけない」と苦言を呈する。

(玉置 亮太)