環境問題の深刻化は,パソコン業界にも大きな変革を迫っている。この4月には,企業向けパソコンの回収をメーカーに義務づける新法が施行される。こうした状況のなか,デルなどの外資系メーカーがベンチャーと組んで,企業向けに格安のリサイクル・サービスを提供し始める。すでに全国規模で企業向けパソコンのリサイクルを手がけている大手メーカーは,2002年に法制化される家庭向けパソコンのリサイクルを視野に入れて動き出した。

 パソコン業界でリサイクルの動きが活発になってきた。大きなきっかけは,2001年4月に施行される「資源有効利用促進法(通称,改正リサイクル法)」。企業にパソコンを販売したメーカーに対して,不要になったパソコンの回収や,一定割合以上の再利用・再資源化を義務づける法律である。

表●2001年4月に義務化される企業向けパソコンのリサイクルに向けた,新たな取り組みの例

 デルコンピュータ(川崎市)や日本ヒューレット・パッカード(HP)といった外資系パソコン・メーカーは,ベンチャー企業と提携するなどして,格安のリサイクル・サービスを展開する([拡大表示])。三菱商事が周辺機器メーカーなどと共同設立するリサイクル業者は,リース期間が終了した企業向けパソコンを中古品として再販するビジネスを始める。一方,すでに5~6年前から企業向けパソコンのリサイクル体制を整備している大手パソコン・メーカーは,1年後の2002年4月にも義務づけられる家庭用パソコンのリサイクルを見据えて動き出した。

 改正リサイクル法が施行されるまでは,ユーザー企業が自らの責任で,不要なパソコンを産業廃棄物として処分することが義務づけられているだけだった。これでは不法投棄を防止することはできても,資源の有効利用にはつながらなかった。法改正に伴うメーカーやリサイクル業者の動きは,環境問題の観点からも注目を集めそうだ。

(高下 義弘)