Linuxディストリビュータがデスクトップ市場の開拓に本腰を入れ始めた。大手2社がLinux用のオフィス・スイートにLinuxディストリビューションをバンドルした「オフィス・パッケージ」を相次いで投入した。価格を割安にすることで,これまで手薄だったデスクトップ分野でユーザー獲得を狙う。
Linux用のオフィス・パッケージを製品化したのは,レッドハット(東京都千代田区)とターボリナックス ジャパン(東京都渋谷区)の2社(表)。Linux用のオフィス・スイートに,Linuxディストリビューションをバンドルした製品は,日本では初めて。海外では,すでに加コーレルが「WordPerfect Office 2000 for Linux」を販売しているが,日本語版が開発される見込みは立っていない。
レッドハットが2月9日に発売する「Do Office」は,韓ハンコム・リナックスが開発したオフィス・スイート製品「HancomOffice1.2 Japanese for Intel」と,ボランティアのLinux開発者集団「Project Vine」が開発したLinuxディストリビューション「Vine Linux 2.1CR」を組み合わせた製品である。レッドハットは自社製のLinuxディストリビューション「RedHat Linux」も持っているが,インストールの容易さや日本語機能の点で勝っているVine Linux 2.1CRのほうが,デスクトップ分野に適していると判断した。今後は,ノート・パソコンなどへのプリインストールをパソコン・メーカー各社に提案していく,という。
レッドハットは2000年11月から,Vine Linux 2.1CRにハンコムのワープロ・ソフト「HancomWord」を同こんして販売していた。この製品はユーザーから好評で,「デスクトップ分野においても十分な手ごたえをつかむことができた」(平野正信社長)ことが,Do Officeの製品化につながった。Do Officeにはワープロ・ソフトだけでなく,ハンコムが新たに開発した表計算,プレゼンテーション,グラフィックスの各ソフトを加えたオフィス・スイートを組み込んだ。
一方,ターボリナックス ジャパンは「Turbolinux Officeパック」を1月26日に発売した。これまで単体で販売していた米ビスタ・ソースのLinux用オフィス・スイート「Applixware Office for Linux」の最新版(5.0)に,自社のデスクトップ向けLinuxディストリビューション「Turbolinux Workstation 日本語版 6.0」をバンドルした。ターボリナックスはApplixware Office for Linux 5.0 日本語版を単体でも販売するが,パッケージ製品のほうが1800円安い。
Applixware Office for Linux 5.0には,従来からあるワープロ,表計算,プレゼンテーション,グラフィックス,メールなどのソフトに加え,アプリケーション開発環境「Applix Builder」を新たに組み込んだ。C++用の開発ツールであり,対話形式でGUI画面を作成したり,データベースを呼び出すアプリケーションを開発できる。
Applixware Officeは,Turbolinuxだけでなく,「LASER5 Linux6.x」,「RedHat Linux6.2」,「KondaraMNU/ Linux 2000」といった他社製のLinuxディストリビューションでも稼働する。
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表●OSをバンドルしたLinux用のオフィス・パッケージの仕様 * 単体価格は,Applixware Office for Linux 5.0 日本語版が1万4800円,Turbolinux Workstation 日本語版 6.0が6800円 |