日本オラクルがマーケットプレイス構築で反撃に出る。同社のマーケットプレイス構築ソフト「Oracle Exchange」の機能強化ソフトを2001年2月以降,順次投入する。このほか日本市場向けのパートナ制度も発足させる。関連サービスを総合的に提供することで,専業ベンダーに対する優位性を打ち出す。

 日本アリバやコマースワン日本法人といった専業ベンダーの攻勢の前に,日本オラクルのマーケットプレイス構築ソフト「Oracle Exchange」は,苦戦を強いられている。日本オラクルは,データベース・ソフトの圧倒的なシェアを背景に,マーケットプレイス関連商談の決定権を握る各業界のトップ企業に対して,重点的に売り込みをかけているが,現時点では,必ずしも成功していない。こうした状況は米国でも大差ない。

 そこで日米のオラクルは,マーケットプレイス関連の製品とサービスの両面で,総合サービスを提供する路線をいっそう明確に打ち出した。「単にマーケットプレイスの構築ソフトを販売したり,マーケットプレイスの運営サービスを請け負うだけでは,顧客に十分なサービスを提供できない」(日本オラクル幹部)と判断した。

 巻き返し策の第一弾として,米オラクルは2001年1月17日,日本オラクルは1月25日に製品面の強化策と,新しいパートナ戦略を発表した。

 製品面では,調達を担当するOracle Exchangeと,社内の他システムを連携させるための3製品を投入する。(1)企業のサプライチェーン管理システムの処理結果に応じて,Oracle Exchangeによる調達を実施する「Oracle Supply Chain Exchange」,(2)企業の商品開発計画とOracle Exchageを通じた調達を連動させるOracle Product Development Exchange,(3)Oracle Exchangeで調達した商品の配送を効率化させる「Oracle Transportation Exchange」の3種類である()。

 これらの製品とOracle Exchangeを組み合わせることで,製品開発から調達,製造,物流に至る業務プロセスの全工程をシームレスに結び,効率的なバリューチェーン(価値の連鎖)を構築できるようになる。日本オラクルは,これら3製品の日本語版を2月以降,順次出荷する。

 もう一つの柱であるサービス面の強化の中心は,Oracle Exchangeの利用企業に対して,決済や与信,物流などの各種サービスを提供する企業を組織化する新パートナ制度である。「Oracle Exchange Partner Initiative」と呼ぶもので,全世界から30社強が参加した。

 日本からも,金融関連のサービス提供パートナとして,東京三菱銀行と三和銀行が名乗りを上げた。「マーケットプレイス経由の調達に付随する各種のサービスをパートナが一貫提供することで,利用企業はマーケットプレイスのメリットをいっそう享受できる」(日本オラクル幹部)と期待する。

 このほか日本独自の巻き返し策として,日本オラクルは,マーケットプレイスで使う電子カタログを作成する企業を組織化して,作成作業を効率化する可能性も摸索している。また日本オラクルは,新製品やパートナ制度の発表とほぼ同時に,すでに米国でスタートさせている文具などさまざまな商品を扱うマーケットプレイス「OracleEx change.com」の日本語サイトを開設する見通しである。

(中村 建助)

表●日本オラクルが2月以降,順次出荷するOracle Exchangeの強化製品
製品名 概要
Oracle Supply Chain Exchange Oracle Exchangeを通じた調達を,社内のサプライチェーン管理システムと連動させる
Oracle Product Development Exchange Oracle Exchangeによる調達と,商品開発計画を連動させる
Oracle Transportation Exchange Oracle Exchangeを通じて調達した商品の輸送を,物流業者 が電子的に管理できるようにする