1994年以来増収増益を続けて波に乗っている米デルコンピュータ。2000年第3四半期には,パソコン・サーバー市場における米国シェアで出荷台数トップのコンパックコンピュータを射程圏内にとらえた。マイケル・デルCEO(最高経営責任者)をはじめとする経営陣は「2001年末にはコンパックを追い抜く」と息巻く。さらなる成長を目指して,サービスやストレージといった新規事業の強化などを進めているが,各分野には課題が残っている。

図1●米デルコンピュータの業績推移
1994年以来増収増益を続けている
 まれに見る大接戦の末,次期大統領にジョージ・W・ブッシュ州知事の当選が決まって,わきかえるテキサス州オースチン―。このオースチンのとなり町ラウンド・ロックに本社を構えるデルコンピュータは,米国で繰り広げられている“もう一つの僅差の争い”を制しようと燃えている。パソコン・サーバー市場におけるコンパックコンピュータとのシェア争いである。

 米国の調査会社であるIDCによると,2000年第3四半期の米国パソコン・サーバー市場における,コンパックの出荷台数のシェアは27%。対するデルは24%と,その差3ポイントにまで詰め寄った。デルは本社の至るところに「CRASH COMPAQ(打倒コンパック)」と印刷したポスターを張って,社員の士気を高めている。

 1994年以降,デルは増収増益を続けている(図1[拡大表示])。2000年10月4日に2000年10月までの四半期の売り上げ見込みを3%下方修正したものの,2001年1月期(2000年2月~2001年1月)の売上高として前年比27%増の約320億ドルを見込んでいる。このうち85%,約272億ドルは企業向け製品の販売によるものだ。CEO(最高経営責任者)のマイケル・デル氏をはじめ経営陣は,「2001年末までにパソコン・サーバーのシェアでコンパックを抜く。売上高も全体で380億ドルに増やす」と威勢がいい。

(栗原 雅=米オースチン)