北米市場で業績不振にあえいできた国産大手メーカー3社が,本腰を入れて事業の立て直しに乗り出した。日立製作所と富士通はIBM互換メインフレーム事業から撤退。UNIXサーバーやサービスを中核事業に育てる。NECは米パッカードベルNECに見切りをつけ,米インテルや米ヒューレット・パッカードとの提携に,パソコン事業の再起を賭ける。粘り強い買収・提携交渉など,3社が断行する事業方針大転換の舞台裏を探った。

図1●日立製作所のIBM互換メインフレーム販売台数の推移
1995年に発売した「Skyline」は大ヒットしたが,1997年度以降は販売台数が激減している。値はすべて本誌推定
 日立製作所,富士通,NECの国産大手メーカー3社の海外事業が,大きな危機を迎えている。3社の2000年度(2000年4月~2001年3月)決算見込みには,その深刻さが色濃く表れている。海外におけるNECのコンピュータ事業の連結売上高は3600億円で,前年度実績を21%割り込む。富士通は1兆800億円で11%減。日立は連結売上高を公表していないが,輸出額が横ばいにとどまる見通しだ。

 3社の海外事業の足を引っ張っているのは,いずれも主戦場である北米市場での業績不振である。なかでも日立と富士通は1997年度以降,北米でのIBM互換メインフレームの売り上げが減少の一途をたどっている。IBM互換メインフレームは,米IBMのメインフレームOSがそのまま稼働する互換機で,国内向けメインフレームとは異なる製品である。

 日立の2000年度のIBM互換メインフレームの販売台数は,前年度を73%下回る330台(本誌推定)の見通し(図1[拡大表示])。この数字は,日立が2000年5月に立てた今期販売計画の半数程度に過ぎない。富士通のIBM互換メインフレームも,2000年度の売上高は前年度から10%程度減少する。富士通の全額出資子会社で,IBM互換メインフレームの販売を担当している米アムダールのハード関連売上高は,「1999年度は8億ドルだったが,2000年度は7億ドルに落ち込む見通し」(富士通の高谷卓専務)だ。

(森 永輔)