電子商取引(EC)などインターネットを利用したシステムを対象に,アプリケーションの稼働状況の監視や障害復旧といった運用管理を代行するサービス業者「MSP(マネジメント・サービス・プロバイダ)」が登場し始めた。すでに米国では新しいタイプのアウトソーシング・サービスとして普及しており,日本でも日米のベンダーが取り組みを開始した。ECサイトでのトランザクション処理の速度など,きめ細かな監視を行うMSPも現れた。

 「インターネット・ビジネスを手がける企業の多くは,システム開発には気を配るが,完成後の運用管理には無関心だ。ビジネスが本格的に立ち上がって初めて運用管理の大変さに気づくケースが増えている」。ベンチャー企業向けに,インターネット・ビジネスに関する経営支援や技術指導を行っているサンブリッジ(東京都渋谷区)のアレン・マイナー社長はこう指摘する。

 このような問題の解決を狙って,「MSP(マネジメント・サービス・プロバイダ)」と呼ぶ新しいタイプのサービス業者が相次いで活動を始めた。MSPは,Webサイトや電子商取引(EC)などインターネットを利用したシステムを対象に,稼働状況を監視したり障害を検知・復旧するなど,運用管理業務を代行する。インターネット・ビジネスに特化したアウトソーシング・サービスと言える。

 米国大手MSPがいち早く2000年1月に設立した日本法人であるサイトロック(東京都渋谷区)は,今秋から本格的な顧客開拓に乗り出した。米国でデータセンターを運営する伊藤忠テクノロジー(ITI)などが設立したコア・フュージョン(同港区)は10月に,前述のサンブリッジと富士通は11月に,それぞれMSPサービスの提供を始めた。携帯電話のコンテンツ・サービス向けのデータセンターを運営するイーツ(同港区)は,2001年1月からMSPサービスを提供する予定。NECも,2001年早々からMSPサービスに本格的に取り組む意向を明らかにしている。サイトロックに続いて,ラウド・クラウドなどの米国大手MSPは,2001年にも日本市場に参入すると見られる。

(小林 暢子)