●Webサイトやイントラネットの渋滞を解消する「キャッシュ・サーバー」を導入する企業が増えている。

●キャッシュ・サーバー専用のハードウエア製品は,従来のソフトウエア製品に比べて導入や設定が容易だ。

●ネットワークの高速化だけでなく,コンテンツ配信やURLフィルタリングといった機能を重視して導入した企業もある。

図1●今回取り上げる「キャッシュ・サーバー」の位置づけ
主にイントラネットやWebサイトにおいて,コンテンツの表示速度を向上させるために適用する。キャッシュ・サーバー専用のハードウエア製品は簡単な初期設定のみで導入できるので,従来のソフトウエア製品を利用する場合に比べて,運用管理の手間を軽減できる

 Webページの表示を高速化したり,ネットワークの渋滞を解消するための“即効薬”として,「キャッシュ・サーバー」が注目を集めている(図1[拡大表示])。キャッシュ・サーバーとは,Webのコンテンツを一時的に蓄積(キャッシング)し,Webブラウザに配信する製品である。元のコンテンツを持っているWebサーバーの代わりに応答するので,通信の無駄がなくなり,Webページの表示も速くなる。

 最近はキャッシュ・サーバー専用のハードウエア製品を利用する企業が増えてきた。従来は,UNIX用のフリー・ソフトである「squid」や,Webサーバー・ソフトが備えるコンテンツ・キャッシング機能を使う場合が多かった。キャッシュ・サーバーと同様のコンテンツ・キャッシング機能を持つソフトウエアは,「プロキシ・サーバー」とも呼ばれる。

 ソフトウエアと比べた場合の専用ハードウエアの利点は,導入や運用管理が容易なことである。多くのキャッシュ・サーバー製品は専用OS,あるいはFreeBSDなどのオープン・ソースOSをカスタマイズしたものを搭載。Webコンテンツのキャッシングに必要な機能以外を極力省いている。汎用のパソコン・サーバーのようにアプリケーションを自由にインストールすることはできないが,その分操作が簡単だ。導入時はIPアドレスなどを入力するだけですむので,十数分から30分程度で導入作業が完了する。

(玉置 亮太)