2000年の“eクリスマス”を前にして,国内外の有力企業が立て続けに個人向けの電子商取引(BtoC)市場に参入してきた。迎え撃つ格好になる既存の有力BtoC企業は相次いで,Webサイトを全面的にリニューアル。顧客別に商品を推薦する新機能を追加したり,取り扱う商品数を増やして集客力向上を狙う。コンビニエンス・ストア各社も,BtoC子会社のサービスを開始したり,店舗へのマルチメディア端末の設置を進めている。

表1●今年の“eクリスマス”を前に,新規オープンまたは全面リニューアルした主な個人向け電子商取引(BtoC)サイト
 国内の個人向け電子商取引(BtoC)市場が,活気づいている。「無印良品」や「ユニクロ」といった,日本を代表する人気ブランドを抱える企業が,2000年9月から10月にかけて相次いでBtoC市場に参入。それに続いて,世界最大のインターネット小売業者である米アマゾン・ドット・コムが11月1日,日本でインターネットによる書籍販売サービスをようやく開始した(表1[拡大表示])。

 一方で,これまで日本のBtoC市場を牽引してきた“老舗”企業であるソフマップ(東京都千代田区)や,ソフトバンク傘下のイー・ショッピング・グループ各社などが一斉に,商品販売サイトの全面リニューアルに乗り出した。サービスやコンテンツの強化によって,新たな顧客獲得や既存顧客の購入率アップを狙う。ファミリーマートなどコンビニエンス・ストア大手各社のBtoC子会社も,この秋から本格的に始動した。

 国内のBtoC市場が一気ににぎわいを見せ始めたのは,各社が“eクリスマス”を意識しているからだ。eクリスマスとは,インターネット上で繰り広げられるクリスマス商戦のこと。米国では,11月末から12月25日までのクリスマス・シーズンに,1年を通じて一番モノが売れると言われており,インターネット上でも例外ではない。ここに来て,「2000年のeクリスマスでBtoCの売り上げに弾みをつけて,2001年につなげたい」という国内の有力な小売業の思惑が一致。米国に数年遅れで,日本にも本格的なeクリスマスがやってきた。

(川又 英紀)