●企業間でデータを交換する際の標準データ形式として,XML(エクステンシブル・マークアップ・ランゲージ)が注目されている。

●XMLを採用すると,データ交換のインフラにインターネットが使える,既存の業務システムとの連携が容易,といった利点がある。

●インターネット取引所の中には,商品の受発注データをXML形式で交換可能にし,取引量の拡大を狙う運営会社も出てきた。

図1●今回取り上げる「XML」の位置づけ。
企業間はもちろん,企業内LANやWANで接続したシステム間で送受信するデータの標準形式としても注目されている。複数のシステム間でEDI(電子データ交換)を実現するための開発コストを抑えたり,やり取りするデータの項目などの変更にかかる負荷を軽減できる

 ネットワーク上で受発注などのデータを交換する場合のデータ形式に「XML(エクステンシブル・マークアップ・ランゲージ)」を採用する機運が高まってきた。

 XMLとは,Webで広く使われているHTML(ハイパーテキスト・マークアップ・ランゲージ)に,データの“意味”を定義する機能を加えた言語である。企業間はもちろん,企業内LANやWANで接続したシステム間で送受信するデータの標準形式としても,注目を集めている(図1[拡大表示])。

 特に,企業間でやり取りするデータの形式をXMLにすると,コスト削減の効果が大きい。インフラとして安価なインターネットを利用できるからだ。XMLのデータは,Webと同じHTTP(ハイパーテキスト・トランスファ・プロトコル)で交換できる。これに対し,従来型のEDI(電子データ交換)では,一般にインフラとして高価な専用線やVAN(付加価値通信網)を利用する。データの形式は業界ごとに固有のものを使うことが多い。

 最近は,インターネット上でHTML形式のデータ交換を行う「Web-EDI」も普及し始めている。安価なインターネットを使える点では,これも有効なデータ交換方法である。しかし,もともとHTMLはWebブラウザへの画面表示用の言語なので,データ交換に最適な言語とは言えない。このため,HTMLデータの送受信と基幹系システムの入出力との間に,人手による処理が必要な場合が多い。XMLを使ったEDIでは,基幹系システムと連携してデータを自動処理できる。これは,XMLがデータの構造や属性を自由に定義できる言語だからだ。

 XMLはデータ自体とは別に構造や意味を定義できるので,データ項目の変更も容易である。例えば,EC(電子商取引)サイトで扱う商品の追加・削除に伴ってデータ項目を変更する場合,作業の負荷を軽減できる。これは,XMLを社内システムのデータ形式として採用した場合にも有効だ。