チップセットの性能を測定

図4●チップセットの違いによるメモリー読み書きの速度差
計測にはベンチマーク・スイートの「LMbench」のメモリー性能測定部分を利用した。
図5●チップセットの違いによるスループットの差
ServerWorks GC-SL搭載機が約5%前後高い値を示した。測定機はServerWorks GC-SLを搭載する日本ヒューレット・パッカードの「hp server tc2120」,i845Eチップセットを搭載する日本IBMの「xSeries 205」を使用した。Windowsのファイル共有要求の処理をメモリー上でシミュレートする「tbench」をベンチマーク・ソフトとして利用した。

 サーバー・メーカーは「処理性能よりも機能と安定性を重視する」(複数のサーバー・メーカー)。だがサーバーと言えども処理性能は当然気になる。そこでチップセットの違いによる性能差を見るために,i845EとServerWorks GC-SLそれぞれのチップセットを搭載したマシンを計測した。

 測定機にはi845Eチップセットを搭載する日本IBMの「xSeries 205」とServerWorks GC-SLを搭載する日本ヒューレット・パッカードの「hp server tc2120」を使用した。ともにCPUはPentium 4 2.4GHz,メモリーは256Mバイト。OSはRed Hat Linux 7.3日本語版で揃えてある。違いはチップセットを中心としたマザーボードだけになる。

 まず,チップセットごとのメモリー読み出し/書き込み性能の傾向を見るために,UNIX用ベンチマーク・スイートの「LMbench」(ftp://ftp.bitmover.com/lmbench/)でメモリー性能を測定した(図4[拡大表示])。このテストは,読み書きのサイズを512バイトから8Mバイトまで倍に増やしながら,メモリーに対する読み出しと書き込み速度を計測する。

 結果を見てみると,メモリーの読み出しではi845EがServerWorks GC-SLよりも約130Mバイト/秒速い。それとは逆に,書き込みではServerWorks GC-SLがi845Eを約170Mバイト/秒上回る値になった。この差を勘案すると,読み書きが同程度発生する処理に限れば,i845EよりもServerWorks GC-SLの方が実行速度は速くなるはずだ。

 そこで実使用での性能差を見るために,ファイル・サーバーでの利用を想定したベンチマーク・テストを実施した。ベンチマーク・ソフトにはLinuxで動作するWindows向けファイル/プリンタ共有サーバー「Samba」に対する入出力をシミュレートする「tbench」(ftp://samba.org/pub/tridge/dbench/)を利用した。tbenchのテスト内容は,仮想クライアントを生成して,一般的なファイル操作を繰り返すというものだ。ファイル操作の内容は,ファイルの読み出しが約6万4000回,書き込みが約1万4000回である。サーバーと仮想クライアントを同一機で実行するので,メモリーに対する読み書きの比率はほぼ等しくなる。

 結果は先に計測したメモリー性能の差が現れた形になった(図5[拡大表示])。ServerWorks GC-SL搭載機が約5%前後高い値を示した。tbenchの仮想クライアント数が64になった時点で,両者の結果が拮抗している。メモリーのスワップが始まり,メモリー性能の差が吸収されたためだろう。いずれにせよ,チップセットの差が性能面に与える影響はそれほど多くない。この程度の差であれば,ハードディスクの性能差の方が大きいだろう。

(高橋 秀和)