抑止効果を期待できる大きなアラーム音

写真5●警報音を鳴らして泥棒を威嚇する「SL-29ALM」
パソコンを持ち出そうとすると警報音を鳴らし,盗難を防ぐ。本体にバネ式の突起が出ている。突起が出ている面を両面テープでパソコンに貼り付ける。アラーム本体をパソコンから取り外すと,突起部が検知して警報音が鳴る。ワイヤーを切断しても警報音を出すようになっている。価格は2480円。販売はサンワサプライ。http://www.sanwa.co.jp/
写真6●重さを検知してアラームを鳴らす「SAS-01i」
ノートパソコンの下に置くタイプ。ノートパソコンを持ち上げると,100dBのアラームが鳴り響く。アラーム本体の右側にあるチェーン付きの鍵を引き抜くとアラーム設定になり,挿し込むと解除になる。Web直販価格は2980円。販売はプラネックスコミュニケーションズ。http://www.planex.co.jp/
 周囲に気づかれないように,そっとオフィスに忍び込み,パソコンを盗み出す窃盗犯。何も起こらなければそのまま盗み出せそうだ。しかし,そこに鳴り響く大音量のアラーム――。このように,パソコンが持ち出されたことを検知し,大きな警報音を鳴らすツールもある。音で周囲に盗難を知らせて犯人を捕まえるか,そこまでできなくても犯人を驚かせて犯行をあきらめさせる効果を持つ。

 このような製品の多くは80~110dB程度のアラームを発する。アラーム音はピーピーというブザーのため,けたたましい音というわけではないが,明らかに耳障りな音ではある。仮に周辺に誰もいなくても,犯人にとってはイヤな感じがするのは確かだろう。深夜のオフィスなど,音が鳴ってもそれが気にならない環境,またはアラームを聞いて誰かが駆けつけても逃げ切れると犯人が判断すれば,やすやすと持ち出されてしまう危険性はあるが,ある程度の抑止効果は期待できる。

 量販店などでよく見かけるのが,ワイヤー付きの警報機だ(写真5[拡大表示])。これは,アラーム本体をパソコンに両面テープで貼り付ける。貼り付ける面には,押すと引っ込むバネ式の突起が出ている。ワイヤーは机などにくくりつけておく。本体側面にスイッチがあり,これを押し込むとアラームがセットされる。

 本体がパソコンに付いている間は,この突起が引っ込み,アラームは鳴らない。パソコンを持ち出そうとして,アラーム本体をパソコンから取り外すと音が鳴り響く。ワイヤーの切断も検知して,アラーム音を出す。実際に試してみたが,一般的なオフィスなら20m四方にいる人に「何かが起こっている」と思わせることができる音だった。

 ただ,ワイヤーを使うとパソコンを移動することができなくなってしまう。これを避けるために,パソコンの下に設置するタイプのアラームもある(写真6[拡大表示])。吸盤を使って,パソコンの底面に貼り付ける。重さを検知するスイッチが付いており,誰かがパソコンを持ち上げるとアラームが鳴る仕組みになっている。


写真●ココセコムのGPS通信ユニット
ストレート型の携帯電話とほぼ同じくらいの大きさである。1回2時間の充電で,10日間の動作が可能。
図●Webサイトで位置情報を知らせる
この例では,犯人が広い道路に面した交差点にいた。このため,ほぼ正確な位置を表示できた。ただし,屋内だと位置がずれることがある。

犯人を追跡することはできるのか?

 どんなに盗難対策をしていても,100%の安全はあり得ない。万一のことを考え,パソコンを持っていかれるという覚悟も必要かもしれない。

 では,盗まれたパソコンを取り戻すために,犯人を追跡することはできるのだろうか。これに対してある程度の回答を示してくれるのが,セコムの「ココセコム」だ。

 ココセコムでは専用のGPS通信ユニットを使う(写真)。ユーザーがWebまたは電話でセコムに問い合わせると,セコムがGPSを使って通信ユニットの位置を算出し返答する。GPS通信ユニットは,auの携帯電話通信網を使って位置データをセコムに送る。

 通信ユニットが屋外にある(犯人が屋外にいる)場合なら,10m程度の誤差で位置を検出できる()。屋内や地下など,auの携帯電話は使えるがGPSの電波を拾えない場所では,携帯電話の基地局を基に位置を検出する。この場合の誤差は200~300mまで拡大することもある。

 実際に試したところ,周りの開けた屋外の場合はほとんど誤差なく位置を特定できたが,ビルの中にいた場合は,約200m先の場所が示された。

 ココセコムは,人もしくは自動車の位置特定用のサービスとして開発されたものである。このため,パソコンに取り付けたり,内蔵できるようにはなっていない。

 ただ,過去には新幹線の車内で置き引きされた宝石商のかばんを東京駅からGPSで追跡し,移動中だった犯人を警察がJR阿佐ヶ谷駅付近で逮捕したという事例もある。ノートパソコンをかばんごと盗まれるようなケースや,置き忘れたかばんを一刻も早く回収したいといったニーズには応えられる。

 初期費用は7000円で,月額基本料金が500円。位置情報をセンターに問い合わせる場合は1回当たり300円,Webサイトを使う場合は1回当たり100円(1カ月に2回までは無料)となっている。

(仙石 誠=日経バイト)