Question 自分のホームページから他人のサイトにリンクを張りたいのですが,リンクを予定している相手と連絡が取れません。このような場合,無断でリンク集に加えても問題はないのでしょうか。

Answer 無断でリンクを張ること自体に問題はないが,リンクの張り方によっては著作権を侵害する恐れがある。また,リンク先を説明した文の表現が名誉毀損に当たらないように注意が必要である。


 リンクを張る,つまりURLを表示して他のサイトに飛べるようにする行為自体は違法ではない。URLはインターネット上の住所で,リンクは単なる道標にすぎない。リンク先Webページを勝手に複製しているわけでも,勝手に公衆に送信しているわけでもないからだ。他人のサイトの名称と場所を記載することは著作権侵害には当たらない。

 ところが,リンクの張り方によっては訴えられる恐れがある。Webページは創作性があれば著作物と認められる。このため,勝手に改変し,作者の意思に反した方法で公表すると,著作者人格権を侵したと裁判官に判断される可能性が生じる。

他人のWebだとわかる表示が必要

図2●著作権侵害に問われる恐れが高いフレーム表示の例。
あたかも自分が作成したように見える表示は不正な行為である

 では,どのようなリンクの張り方が問題になるのだろうか。問題となるのは,(1)URLを示すのではなく相手のサイトにある画像に直接リンクを張る,(2)自身のサイトのフレーム内に他人のサイトが表示されるようにリンクを張ることである。

 (1)のようにリンク先サイトの画像に直接リンクを張ると,あたかも自分のサイト自身の画像のように見えてしまう。リンク先サイトは自分の画像について氏名表示権を持っており,この権利を侵害したと主張される恐れがある。

 一方の(2)は図2[拡大表示]のような作りをしたページのことである。フレーム内に他人のページを表示させ,あたかも自分のページの一部に見えるように表示した場合だ。

 このようなフレーム表示は著作者人格権のうちの氏名表示権や同一性保持権の侵害になる可能性がある。氏名表示権は自身のサイト内でフレーム表示をした場合に,どこのサイトのコンテンツかをわかるようにしていないため問題になる。同一性保持権は,あるサイトのフレームで別サイトが表示される場合,そのサイトが独立したサイトと見ることができないときに問題になる。これらは,商標法や不正競争防止法の違反とされることもある)注6

リンク先の紹介文も問題になる

 著作権とは関係ないが,リンク先を説明する文章の書き方にも注意しなければならない。明らかに誹謗中傷したり,事実と異なる紹介をした場合は名誉毀損罪や侮辱罪に問われる場合がある。

 名誉毀損罪や侮辱罪は刑法で処罰の対象となったり,民法で賠償の対象となる。刑法も民法も社会的な評価を低下させる恐れがあれば適用される。民法の場合,損害賠償額は被害を与えたサイトや被害を被ったサイトの影響力によって変わる。

(八木 玲子,堀内 かほり  監修=岡村 久道弁護士)