画面1●Windowsデスクトップサーチの検索結果
上部にキーワード入力欄,下部左に検索結果,下部右にプレビュー欄を配置している。ウインドウの横幅が640ドット以下になると上中下の3段配置に変わる。
画面2●エクスプローラに統合したWindowsデスクトップサーチ
検索結果の履歴を仮想的なフォルダのように見せる。フォルダを閲覧するように履歴を次々にたぐれる。仮想フォルダはエクスプローラを終了すると消える。
 米Google社に続き,米Microsoft社が日本語版のデスクトップ検索の提供を開始した。Microsoftは2005年6月24日,パソコン内のファイルを全文検索できる「MSNサーチツールバーwith Windowsデスクトップサーチ」をWebサイト で公開。導入後はInternet Explorer,エクスプローラ,タスクバーのそれぞれにキーワード入力欄が追加される。パソコン内のファイルを対象とする「デスクトップ検索」か,Webサイトに対する「Web検索」を実行できる。

プレビューと仮想フォルダで差異化

 デスクトップ検索ツールとしての基本的な機能は,日本語版で先行する「Googleデスクトップ検索」,英語版のベータテスト中の「Yahoo! Desktop Search」と変わらない。対応ファイルはテキストだけでなく,メールやアドレス帳,WordやExcel,MP3にJPEGといったもの。ユーザーの邪魔にならないように,一定時間何も操作しない場合に全文検索に使う索引(インデックス)を作成する。

 明確な違いが出るのは検索結果の提示手法である。デスクトップ検索では,結果をいかに「見せる」かが価値を左右する。例えばGoogleデスクトップ検索は,Webサイト検索とファイル検索の結果を統合して表示する。情報の所在が外か内かを意識することなく,ユーザーは所望のデータにたどり着ける。

 WDSが採ったのは,プレビュー機能と仮想フォルダの実装による検索結果の一覧性向上である。前者は,検索結果をクリックするとファイルの内容を表示する機能(画面1[拡大表示])。例えば,PowerPoint形式のファイルを指定すると,プレゼンテーションの目次と内容を表示する。後者は,エクスプローラで検索条件をフォルダとして提示する機能である(画面2[拡大表示])。この仮想的なフォルダをクリックすると,フォルダを閲覧するのに似た使い勝手で検索結果を次々にたぐれる。

対応ファイルの数で競う

 デスクトップ検索ツールのもう一つの競い場所は,検索対象ファイルをどれだけ拡張できるか。先を行くGoogleは,対応ファイルを増やすプラグインの仕様や検索機能を利用するAPIを「Google Desktop Search SDK(Software Development Kit)」として提供済み。Microsoftも同じアプローチを取る。検索対象ファイルを拡張するための「IFilter」仕様は2000年に公開済み。2005年7月11日時点で米Adobe Systems社のPDF対応を始め,12個のプラグインがダウンロードできる。

 APIについては,「ISearchDesktop」のベータ版を公開した。例えば正規表現のクエリーによってWDSに検索を依頼し,結果をアプリケーション内で利用するといった使い方ができる。

 MicrosoftはWDSの改良版を,次期Windows「Longhorn(開発コード名)」に実装する。Longhornは柔軟なファイル管理を実現する基盤として,SQL Serverのサブセット「WinFS」の搭載を予定していたが,Microsoftはこれを先送りにした。開発者に対してISearch Desktopは,検索用インデックス・データベースをSQLで直接操作する「SQL Queries」機能を用意する。ただしMicrosoftは,現在のところSQLによるインデックス操作を推奨していない。ISearchDesktopのAPIが,データベースを基盤とするWinFSでも使えるかどうかが,開発者にとっての魅力を左右しそうだ。

(高橋 秀和)