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WUSBは,既存のUSBプロトコルの物理層を無線化した仕様。無線技術には最大7.5GHz幅の広帯域を使って通信するUltra Wideband(UWB)を採用した。UWB仕様には,パルスを使うインパルス型と,無線LANで使われるOF DMの帯域を広げたOFDM型があるが,後者を使う。OFDM型のUWBは業界団体である「WiMedia-MultiBand OF DM Alliance」がWiMedia UWBとして策定した。WiMedia UWBの上に既存のUSBプロトコルを統合したのがWUSBである。WUSB以外にも,TCP/ IPやUniversal Plug and Play(UPnP),IEEE1394がWiMedia UWBを使った無線版仕様を策定中だ。
最初の認証はケーブルで
WUSBは,現行の有線USBと同じプラグ・アンド・プレイの使いやすさと,安価なインタフェースの実現を前提に設計された(図[拡大表示])。バスの調停やデータ転送を司るホストがあり,最大127個の周辺機器を接続する形態は有線のUSBと同じ。OSが備えるUSB関連のドライバ・スタックはほぼそのまま流用できる。
改変が必要なのは,セキュリティにかかわる部分。ユーザーが明示的にケーブルによってホストに接続するUSBと異なり,ホストの電波の到達範囲にあるWUSB機器のうち,許可した機器だけと通信する認証作業が必要になるからだ。到達範囲が10m以下とはいえ,ユーザーが意図しないWUSB機器との接続を拒否する仕組みが欠かせない。
WUSB仕様で定めているのは,暗号に128ビット長のAES暗号を使うことと,鍵交換のプロトコルまで。具体的に鍵をどう安全に交換するかは定めていない。現在考えられているのは,(1)最初のセットアップ時にUSBケーブルで鍵を交換する,(2)WUSB機器の筐体やシールに記された数字をユーザーがセットアップ時に入力し,機器のIDと比較する,(3)指定した距離にある機器のみを認証する,の3手法。今後はUSBの標準化団体USB Implementers Forum(USB-IF)が標準化と認定作業を進め,認証の具体的な方法を2005年末をメドに決定するという。