図●ソフトウェア更新の手順
三菱電機製のD505iSを例にして操作の手順を示した。更新手段には,即時更新と予約更新がある。予約更新を選ぶと,画面にサーバーのトラフィックに余裕がある時間がいくつか表示されるのでそこから時刻を選ぶ。
 携帯電話機が高機能化していく中,ソフトウェアにバグがあったという報告をしばしば耳にする。そのような不具合を修正するための仕組みが登場した。NTTドコモが10月以降に発表した新機種に,修正ソフトをダウンロードして携帯電話機の基本ソフトウェアを書き換える仕組みを組み込んだのである。米Microsoft社のWindows Updateと似た仕組みといえる。「505iシリーズに米Macromedia社の『Macromedia Flash』が搭載されるなど,携帯電話にパソコンと同じ技術が入ってきた。こうなるとパソコンと同じくウイルスで攻撃される可能性が出てくる」(NTTドコモ 移動機開発部端末アプリケーション担当の渡邉信之担当部長)。

 今まで基本ソフトウェアの書き換えが必要な場合は,ユーザーが携帯電話会社のショップに行くしかなかった。端末に直接ダウンロードすれば,この手間が省ける。通信料は無料である。

 ソフトウェアは,NTTドコモの専用サーバーに置かれる([拡大表示])。ダウンロードするのは書き換えが必要な差分のプログラムだけ。書き換えの際は,それまでのOSとは別の“書き換え用OS”が働く。ソフトウェア更新終了までに掛かる時間は,数秒から数分程度という。ただし,11月11日現在,バグの発表はなく,ソフトウェア更新機能を用いたバグ修正の実績はない。

 対応機種は,2003年11月現在で252iシリーズ4機種すべてと505iSシリーズで発売中の2機種。今後は出荷するすべての端末にソフトウェア更新機能を搭載する方針という。

活用方法は検討中

 実際の操作はかなり分かりづらい。階層になっているメニューをたどっていかなければならない。専用ボタンのような分かりやすい機構が用意されているわけではない。しかも,バグ修正の必要性をユーザーに確実に伝える仕組みが用意されていない。

 更新すべきソフトウェアがあるかどうかは,ユーザーがNTTドコモのホームページ,もしくはi Menuの「お知らせ&ヘルプ」で確かめなければならない。技術的にはメール配信という手もあるが,迷惑メールが蔓延している現状を考え,メール通知の計画はないという。こうしたことから,仮に緊急性のあるバグが見つかって修正ソフトを配布したい状況になったとき,ソフトウェア更新機能がどの程度効果を発揮するかは見えていない。

 同社は,不具合の修正以外の目的でソフトウェア更新を活用することを検討する一方で,バグの内容によってはこの機能を使わないケースもあるという。対応端末が少なく,ユーザーが難なく使えるかが不明なこともあり,展開を決めかねている状況だ。

(堀内 かほり)