外付けのハードディスクとほとんど変わらない大きさながら,Windows/Macintoshクライアントのファイル・サーバーとして使える小型のNAS(Network Attached Storage)。この小型NASに160Gバイトで実売5万円を切る製品が出てきた([拡大表示])。例えばメルコは2003年6月に,USB接続によるハードディスク増設とプリンタ共有機能を追加した上位機を同社の小型NAS「LinkStation」のラインナップに加えた。

表●実売5万円前後の主な低価格NAS
写真●米Ximeta Technology社の「NetDisk」を使った共有ハードディスク共有フォルダやネットワーク・ドライブではなく,クライアントのローカル・ドライブとして扱える。
専用ドライバで軽量・高速化

 一風変わった製品もある。米Ximeta Technology社が開発し,守谷商会が2003年7月中に発売する「NetDisk」だ。

 NetDiskはイーサネットに接続後,クライアントにNetDisk専用クライアント・ソフトをインストールすると,クライアントのローカル・ドライブとして扱える(写真[拡大表示])。対応OSはWindows 2000/XP。Windows 98とMacintoshは2003年8月に対応する。Linuxへの対応も予定するという。

 NetDiskの特徴は,ファイルのやり取りを独自プロトコルで実行すること。TCP/IPは使わない。ATA/ATAPIのコマンドをイーサネットを通じて発行する。ファイル共有の基本機能となる排他制御は専用クライアント次第だ。現時点では,1台のクライアントが書き込み権限でNetDiskに接続すると,残りのクライアントは読み出しかできない。同時に読み書きできる専用ソフトは検討中だという。

 実際にファイルの転送速度を計測してみると,100BASE-TXのネットワークで読み出し約80Mビット/秒,書き込み約72Mビット/秒の結果を得た。小型NASとしては高速なLinkStationは読み出し約55Mビット/秒,書き込み約40Mビット/秒だったので,確かに速い。ATA/ATAPIのブリッジに過ぎないため「ギガビット・イーサネットへの対応が容易」(守谷商会の100%子会社であるピーエーエスの坂梨知司社長)でもある。

 確かに高速なNetDiskだが,現時点ではNASというより一人のユーザーが書き込み,それを複数のユーザーで共有するといった使い方にならざるを得ない。読み出し主体の用途であれば,高速かつ安価な共有ディスクとして活躍の場はありそうだ。

(高橋 秀和)