(注:記事は執筆時の情報に基づいており,現在では異なる場合があります)

ディストリビューションとSamba

 Sambaはオープンソースのソフトウエアであり,ほとんどのLinuxディストリビューションに標準で同こんされている。そのため,ディストリビューションをインストールしたときに自動的に導入されたSambaをそのまま利用されている方も多いだろう。

 しかし,日本でSambaを使うのなら,さまざまな日本語問題が修正され,日本語ドキュメントを同こんしている,日本Sambaユーザ会が開発したSamba日本語版を利用してほしい*2。この基礎講座でもSamba日本語版の利用を前提に解説していく。

Samba日本語版の導入法

 Sambaのインストール方法には,ディストリビューションに付属するパッケージ管理システムを利用してバイナリ・パッケージを導入する方法と,ソースからコンパイルする方法の2つがある。開発者やよほどスキルのある技術者以外には,ソースからコンパイルしてインストールする方法はお勧めできない。メーリング・リストなどでときどきソースからのコンパイルを勧める方がいるが,それは作業される方が開発者の場合であって,一般の方には以下の理由により勧められない。

●OS上のすべてのプログラムは,OSが持つパッケージ管理システムで管理されるべきである。

●プログラムなどが格納されるディレクトリの配置などは,標準的なルールにのっとるべきである。Linuxの場合,規範はLSB(Linux Standard Base)であり,この中で規定されるFHS(ファイル階層標準)に従うべきである。

●SambaはLinux OSに依存した部分が多くあり,コンパイルする際に多数のオプション指定が必要なので,よほどLinuxおよびSambaに精通した人でない限り作業が困難である。

 こうした理由により,ここではOSが持つパッケージ管理システムを利用してSamba日本語版のバイナリ・パッケージを導入する方法を紹介する。多くのディストリビューションは,パッケージ管理システムにRPM(Redhat Package Manager)を採用しているので,これを使ってインストールするのが最も安全かつ確実である。

 日本Sambaユーザ会(http://www.samba.gr.jp/)が標準で提供しているSamba日本語版のRPMパッケージは,1つを導入するだけですべてのSambaモジュールがインストールされるようになっており,インストールが容易でトラブルがほとんど起きない。なお,開発者が同一人物(筆者)であるという理由からMIRACLE LINUXのSambaも1つのRPMパッケージで提供されている。ディストリビューションによっては,複数に分割されて提供されている。例えばRed Hat Linuxの場合には,

●samba
●samba-common
●samba-client
●samba-swat

の4つに分割されている。Red Hatの場合,samba-swatをインストールしないとWebベースの管理ツールのSWATが利用できないので留意してほしい。もし,Samba日本語版が入っていないRed Hatなどのディストリビューションに日本Sambaユーザ会のSamba日本語版をインストールする場合は,以下のように既存のSambaをすべて削除してからインストール作業をする必要がある。

(1)インストール済みパッケージの確認

# rpm -qa | grep samba
(2)既存Sambaの削除
# rpm -e samba
# rpm -e samba-client
# rpm -e samba-swat
# rpm -e samba-common
というように(1)で表示されたパッケージをすべて削除する

(3)Samba日本語版をインストール

# rpm -ihv samba*ja*.rpm

(ミラクル・リナックス 小田切 耕司)


(次回に続く)