MySQLを採用するシステムが確実に増えており,この瞬間も新しいデータベースがMySQLによって構築されている。しかし,既にデータベースを運用している開発者が,MySQLへ乗り換えるには手間と時間が必要だ。もちろん技術も要求される。

 このような既存のデータベースからMySQLへのマイグレーションを推進するため,MySQL AB社は無償ツール「MySQL Migration Toolkit」の提供を予定している。今回は,MySQL Migration Toolkitによるマイグレーションを紹介する。

MySQL Migration Toolkitの機能

 MySQL Migration Toolkitは,既存のデータベースをMySQLに移行するためのGUIツールだ。サーバー管理のMySQL Administratorとデータ処理のMySQL Query Browserに続く3つめのGUIツールとなる。

 Oracle,SQL Server,Accessで構築されているデータベースを解析して,MySQLサーバー上にデータベースを構築する。対象となるデータベースオブジェクトは,Table,Index,Viewである。Stored ProcedureとTriggerのマイグレーションも補助する。

MySQL Migration Toolkitのインストール

 現時点で,MySQL Migration Toolkitは,Windows版のみの提供となっており,ベータ版がMySQLの公式サイトからダウンロード可能となっている。インストーラは,ほとんど設定する必要がなく,簡単にインストールが完了するはずだ。ダウンロード・ファイル名は「mysql-migration-toolkit-1.0.7-beta-win32.msi」である。

 なお,Oracleのマイグレーションを行う場合には,JDBCの設定が必要になる。

マイグレーションの手順

 MySQL Migration Toolkitは,8ステップから構成されるプロセスでマイグレーションを行う(表1)。

表1●MySQL Migration Toolkitの処理内容

ステップ名 処理内容
ステップ名 処理内容
Source/Target マイグレーション元および構築先MySQLサーバの指定
Object Selection マイグレーションを行うオブジェクトの選択
Object Mapping 各オブジェクトのマッピング方法の指定
Manual Editing オブジェクトのマニュアル設定
Schema Creation データベースの構築実行
Data Mapping データのマッピング
Bulk Transfer データの一括転送処理実行
Summary 処理レポートの表示

写真1●画面に表示されるマイグレーションのステップ

 どのステップを行っているかは,画面右側のイメージ上に示されているので,非常に判り易い(写真1[拡大表示])。各ステップは,次のような処理を行う。

 このようにマイグレーション作業を体系立てて行うことにより,容易で短時間にマイグレーションが完了する。次に,MySQL Migration Toolkitによるマイグレーションを実際に行ってみる。