前回,オープンソース・コミュニティは一種の学校であると書いた。現在の技術の一端は,オープンな技術標準が築いてきたものであり,オープンソース・ソフトウエアはオープンな技術と親和性が高いといえる。

 反面,オープンソースは確固たる主体が明確になっていない場合もあり,これからオープンソース・ソフトウエアを使ってみたい,さらには開発に加わってみたいと思っても,なかなかとっかかりが掴めないという状況がまだまだあるようだ。

 そこで今回は,簡単にしか前回触れることができなかったオープンソースの始め方を具体的にまとめてみたい。

ステップ1.全体的な方針を考える

 最初に全体的な方針を考えてみよう。オープンソースといっても,Windowsのようなクローズド・ソースのソフトウエアと勉強方法の基本が変わるわけではない。基本とはすなわち「とにかく動かしてみる」ということだ。

 異なる点もある。Windowsの場合,根幹を成す技術がきちんと理解できていなくてもユーザーインターフェースが巧みに覆い隠すことでなんとかなってしまう場合が多々ある。

 一方オープンソース・ソフトウエアの場合,(一般的に言う)使い勝手は二の次になることが多く,技術は剥き出し,結果がストレートに現れる,といった感じになる。だからこそ勢いに任せて進むのではなく,一つ一つのポイントを大事にして,しっかりと分からないことを残さないようにしながら進んでいくように心がけたい。

ステップ2.まずは道具立てを揃えよう

 始めるにあたって,形から入るのは分かりやすい。まずは,何を揃えるべきか考えてみよう。

 何はともあれ,コンピュータが必要だ。特別なものは必要ないので,自由に使えるPCを用意しよう。PC自作もおすすめだ。現在ではCPUの64ビット化が急速に進んでいるので,少々値が張るかもしれないがAMD64やEM64Tに対応したCPUを使ってマシンを組んでみてはどうだろうか。

 LinuxやBSDといったOSの役割は,CPUを中心としたコンピュータのハードウエアを動作させることにある。将を射んとすれば,ではないが,OSやその上で動くアプリケーションを理解したいのであれば,まずは足回りともいえるハードウエアの基礎はしっかりと押さえておくべきだろう。それになんといっても自分で組んだマシンであれば愛着もわく。楽しみながら学ぶのは,基本中の基本である。

 次にOSを選ぶ。Linuxならばどのディストリビューションが良いか?とよく聞かれる。ケースバイケースだが,いくつかの選択のポイントを挙げてみよう。

 まずはできるだけ沢山の種類を集めて試してみること。自分で組んだマシンで動かなければ意味がない。ものによって動く動かないが出てくるかもしれないが,なぜ動かないのか考える,調べてみること自体が勉強になるだろう。動作検証が終わったら,動くもののうち,自分の好みに合うものを探す。見た目だったり,設定のしやすさだったり,あるいは情報の多さも選択理由として考えられる。一次的な情報源の確保は何よりも大事なので,少し考えてみよう。