代表的なオープンソースのコンテンツ管理システムであり,アプリケーション・サーバーとしての機能も持つZope。米CBSやNATOなどのほか,日本でもJETRO(関連記事)など多くのサイトで利用されている。Zopeを開発した企業,米ZopeのCEO Robe Page氏は「一度,商用ソフトウエアとして発売したが失敗,しかしオープンソースとしたことで世界に普及した」と語る。(聞き手はIT Pro編集 高橋信頼)
――Zopeの普及状況は。
Robe Page氏 |
また,我々のサイトからは月間1万~3万回Zopeがダウンロードされています。
最も多くのサーバーでZopeを利用しているユーザーはNATO(北大西洋条約機構)です。180以上のサーバーでZopeを使用しており,1万5000から2万程度のユーザーがいます。用途はドキュメント管理です。
米国のTVネットワークCBSなどを傘下に持つメディア大手の米ViacomもZopeの大規模なユーザーです。ViacomグループではCBSも含め,インターネットで公開しているニュースなどのコンテンツ管理に利用しています。
――Zopeを開発した経緯は。またなぜオープンソース・ソフトウエアとして公開したのですか。
Zopeの原型となるシステムは,あるインターネット求人企業のために開発しました。94年頃のことです。ITの専門知識を持たない社員がいちいちHTMLを書くわけにはいかない。そこで,HTMLを書いたりFTPでアップロードしなくともコンテンツを更新できるシステムを開発しました。
98年に1度,クローズド・ソースの商用ソフトウエアとして発売したのですが,成功しなかった。そこで,我々は決断しました。ソフトウエアを販売するのではなく100%サービスを提供する企業に転身することにしたのです。すなわち,Zopeをオープンソース・ソフトウエアとして公開しました。この試みは成功しました。豊富な機能を持つZopeが無償で利用でき,ソースコードも自由に修正できるようになったことで,多くのユーザーがZopeを使用し始めたのです。
ある展示会に出展した時のことです。ひとりの来場者が我々のブースにやってきて「うちでZopeを使っているんだ」と言いました。その来場者はNATOの職員でした。今NATOは我々の有償サポート・サービスを利用する顧客です。我々はZopeベースの商用製品も「ビジブルソース・ライセンス」と呼ぶ,ソースコードを公開する形態で顧客に提供しています。
――Zopeの開発にPythonを採用した理由は。
2つの理由があります。オブジェクト志向であることと,可読性が高いことです。柔軟性が高く,他のプログラマが書いたシステムを,他のプログラムが引き継ぐことができます。
日本ではPythonのプログラマは少ないかもしれませんが,ZopeはPythonのキラー・アプリケーションです。Python自体の普及を促進すると考えています。
――今後の開発計画は。
新しいメジャー・バージョンであるZope3では,全体を書き直します。コンポーネント・ベースのアーキテクチャを採用することで,ソフトウエアの品質を高めます。
現在Zope 3.2を公開していますが,Zope 2.Xと互換性がなくなっています。2005年の末にリリースを予定している Zope 3.3で,Zope 2.Xのアプリケーションをそのまま動作させることができるようになります。