スパム・メールにお困りではないだろうか。どこから入手するのか,一旦アドレスを知られてしまうと,洪水のように毎日何通,何十通もスパムメールが送られてくる。筆者もWebサイトにメールアドレスを公開しているため,避けて通れない宿命のようなものとなりつつある。「スパムを受け取らなくなる方法教えます」という(落書き禁止という落書きのように滑稽な)スパムまで受信してしまう。

 スパムを受け取らなくするためには,元から根絶するのが一番確実な方法だが,現実には難かしい。スパム業者を業者が利用しているプロバイダに通知して接続を解除するという方法もあるが,なかなかすぐには行動を起こしてもらえないのが実情だ。ましてや,海外からやってくるスパム業者のメールに対する対策は国内以上に困難となる。プロバイダ各社とも対策に乗り出してはいるが,目覚しい成果を上げているには至っていない。

 実はプロバイダの対応に任せる以外にも方法がある。それがスパム・フィルタだ。スパム・フィルタは,メール受信の際にメールの内容や状況を判断しスパムか否かを判定するソフトウエアだ。スパムと認識されたメールはユーザーのメール・ボックスに配達されず,削除されたり別のメールボックスに配達されるなどして,ユーザーの目に触れる前に選別してくれる便利なソフトウエアだ。既に商業ベースのスパム・フィルタが幾つも販売されており,組織で導入したりして利用されている方もいるのではないだろうか。

 今回ご紹介するSpamAssassinもスパムフィルタソフトウエアの一つだ。

開発元が買収された後,Apache Foundationが開発を継続

 SpamAssassinは,Apache Software Foundationの1プロジェクトとしてオープンソースで配布されている無償のスパムフィルタだ。かつて最高のスパム対策ソフトとして評価されたDeersoft SpamAssassinが買収によって消滅してしまったが,ソフトウエアの開発プロジェクトはApache Software Foundationにて開発は継続された。

 その後,配布ライセンスを以前のものではなく,Apache Software License Version 2として,SpamAssassin 3.0.0が2004年9月22日にリリースされた。ASL2でのリリースにあたって,ソフトウエアに内のコードの書き換えや開発者に対する確認作業などのが行われたようだ。また,APIも以前のバージョンから若干変更されている。

 スパム・フィルタはツールであり,APIの変更は利用にあまり影響がないと考える方もおられるだろうが,SpamAssassinはPerlで書かれたプログラムであり,簡単に別のプログラムにSpamAssassinを組み込むことができる。その機能を利用したいくつかのツールが存在しており,Windows環境において個人で利用する場合には,外部ツールの利用が不可欠な構成となっている。SpamAssassinの設定をGUIで簡単に行うためのものであったり,Windowsユーザーでも利用可能なようにするツールだ。これらのツールを利用しようとすると最新のバージョン 3では動作しないことが多いので,最新のSpamAssassinを利用する場合には気をつけていただきたい。

図1●メール・サーバーにインストールした場合
図2●クライアントの個人環境にインストールした場合

サーバー,クライアントのどちらでも使える

 では,肝心のスパムをどのようにして退治するかを紹介してゆきたい。

 SpamAssassinはメール・サーバーにインストールして利用する方法と,個人の環境(主にWindows)にインストールして利用する2タイプの方法がある。どちらの場合にせよ,メールの送受信の仕組みの途中にSpamAssassinを割り込ませて,メールの内容をスパムかどうかを判断させる。スパムと判断されたものは,指定の方法で処理されることになる。ちなみに,図1[拡大表示]がメール・サーバーにインストールした場合,図2[拡大表示]がクライアントの個人環境にインストールした場合だ。