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SUSEはヨーロッパで主に普及しており,世界的に見ると第2位のベンダーということになる。SUSE Linuxの日本市場参入をきっかけに,Linuxディストリビューションの選択肢に変化が起きるかもしれない。
SUSEは日本市場では新顔だが,設立されたのは1992年と既に10年以上の歴史を持つ老舗ベンダーだ。Red Hatの設立が1994年のため,最古の商用ベンダーと言ってもよいが,この時期はまだLinuxやオープンソース・ソフトウエアのビジネス自体が萌芽期なので商用・非商用の区別にはあまり意味はないだろう。
今回,日本市場に投入されたのは以下の3製品。基幹業務向け「Novell SUSE LINUX Enterprise Server 8(SLES)」,中小規模システム向けの「Novell SUSE LINUX Standard Server 8(SLSS)」,デスクトップ向け「SUSE LINUX Desktop 1(SLD)」である。
SUSE Linuxは,RPM形式のパッケージをベースにしており,管理ツール「YaST」(Yet another Setup Tool)を備えているのが大きな特長だ。サーバー向けの2製品は,かつてRed Hat Linux対抗を打ち出した「United Linux 1.0」をベースに開発されている。
主な販売パートナーとなるのはIBMとHP。IBMはNovellがSUSEを買収する際にNovellに対して5000万ドルの投資を行っており,自社の独自ハードウエアに対応したLinuxディストリビューションを開発させる,実質子会社的な関係にあるといえる。HPも,「Red HatとSuSEの2社が最も重要なLinuxパートナー」(HP Vice President Martin Fink氏)と位置づけている。
それでは,Linuxでシステムを構築するシステムインテグレータや,Linuxを利用するユーザーにとって,SUSE Linuxが日本市場に進出することによるメリットはどこにあるだろうか。
ヨーロッパやアメリカでの実績から,Oracleなどの商用アプリケーションの動作サポートは一通り整っている。IBMやHPのハードウエアであれば動作保証されるのも安心感に繋がるだろう。テクニカルなサポートについては未知数だが,ノベルが行うということで信頼感がまったくのゼロというわけではない。
SUSE Linuxはフリー版も提供されている。FTPでISOイメージを取得してインストールすることができる。私もSUSE LINUX Enterprise Server 8をインストールして使ってみたが、なかなかよくまとまっているディストリビューションと感じた。
また,私の会社で運営しているメーリングリストで使用ディストリビューションに関するアンケートを取ってみたところ,これからシステムで使われるようになっていくだろうから,試しに使ってみたいという意見が出てきた。SUSE Linuxは比較的好感されているように感じられた。
ただ,サーバー中心の用途で考えた場合,GUIツールのYaSTなどのメリットは少なくなるので,他のディストリビューションとの大きな差別化要因とはならないものと思われる。
ユーザー・ベースの少なさも短期的には採用をためらわせる。ユーザーが少ないと,“生きた情報”も少なくなる。FTPで取得してインストールすることができると書いたが,現在のところ英語サイトのみである。公式なものも含めて日本語の情報も少ない。
やはり,情報提供やサポート・サービスなど,目に見えない部分が利用者がSUSE Linuxを選択する決め手となりそうだ。結局,製品やサービスの普及促進のために必要な当たり前のことをきちんと実行できるかどうかが,SUSE Linuxがユーザーの有力な選択肢となりうるかどうかを左右するのではないだろうか。
また日本では,ターボリナックスやミラクル・リナックスといった国産ディストリビューションも有力な選択肢となっている。ターボリナックスはプリインストール型のアプライアンス製品の共同開発にも力を入れており,既存のCobalt製品ユーザーのリプレースを狙っている。デスクトップ分野ではWindows Media動画ファイルやDVD再生ソフトなどホーム・ユーザーを意識した「Turbolinux 10 F...」をリリースしている。
ミラクル・リナックスは日本オラクルの子会社であることもあり,Oracleのサポートは手厚い。Samba 3.0の国際化も手がけており,Sambaに関する技術力にも定評がある。6月末にリリースする新バージョン「MIRACLE LINUX V3.0 - Asianux Inside」は中国の紅旗Linuxのデータベース・サーバー向けディストリビューションと共通化するなど,アジア圏での利用に開発の重点を置いている。
各ディストリビューションがそれぞれの強みを生かしながら切磋琢磨し,ユーザが主体的にシステム構築のためのディストリビューション選びができるようになることを期待したい。