ジャンル:Weblog構築ソフト 作者:米Six Apart社 |
Movable Typeは,「Weblog(blog)」と呼ばれる情報発信システムを構築するソフトウエアである。文書などを管理する小規模なCMS(Content Management System)としても利用できる。プラグインでの機能拡張も可能だ。
Movable Typeは,このWeblogサイトを構築するソフトウエアである。Perlで記述されたCGIプログラムとして動作するので,CGIを許可するだけでほとんどのWebサーバーに簡単に設置できる。バックエンドで利用するデータベース管理システム(DBMS)の種類が多いのも,導入を容易にしている。
コンテンツの管理機能や,その他のWeblog文書へのコメントを自動的に相手に通知する「トラックバック」機能など,Weblogシステムとしての標準機能を網羅するのはもちろん,プラグインによる柔軟な機能拡張にも対応している。小規模用途向けではあるが,CMS(Content Management System)としても利用できるソフトウエアだ。
開発は,米Six Apart社である。Weblogサイト1つ当たり150米ドルのライセンス費用が必要な有償ソフトウエアであるが,個人利用および非商用では無償で利用できる。カスタマイズにも制限はないが,再配布には許可が必要な点には注意してほしい。
デザインの変更やサイト要約の作成を手軽に
Webページ全般に言えることだが,Weblogのような情報発信サイトでは特にページ・デザインが重要である。デザインにより,情報発信者や記事の印象,記事の読みやすさなどが大きく左右されるからだ。また,単に見栄えというだけでなく,ページ上に配置するさまざま機能のレイアウトも,デザイン上考慮すべき点だ。
しかし,ユーザーが一からデザインを起こすのは簡単ではない。HTMLやCSS(Cascading Style Sheets)の文法を学習し,Movable Typeが提供する各種機能モジュールを理解していなければ,機能的なWeblogページは作成できない。
そこでMovable Typeには,インデックス・ページ用やアーカイブ・ページ用など機能別にWeblogページのテンプレートが標準で用意されている。これをそのまま利用すれば,各種機能を提供するWeblogページを簡単に作成できる。テンプレートのカスタマイズもWebブラウザを通じて行える。見栄えに関する調整はCSSで施すようになっており,こちらについてもテンプレートが標準で提供され,カスタマイズにも対応している。Movable Typeの公式ページ(http://www.movabletype.org/default_styles.shtml)では,CSSのテンプレートが7種類用意されている(写真1[拡大表示])。
また,Weblogシステムでは,サイトの要約情報(記事タイトルや内容要約,更新日時など)をXML形式のファイルとして提供できる機能(これをRSS=RDF Site Summaryと呼ぶ)を備えるのが一般的だ。Movable TypeもRSS情報の出力に対応しており,サイトの再構築時(後述)に自動的にRSS情報を生成するようになっている。RSSはバージョン1.0とバージョン2.0の双方に対応する。RSSリーダーとしての機能も持っており,他のWeblogサイトの要約を自分のWeblogページに表示させることもできる。
前述した通り,プラグインによる機能拡張にも対応する。「MT Plugin Directory」(http://mt-plugins.org/)という専用のWebサイトが用意されており,ここから最終更新時刻表示機能を提供するものなど,多彩なプラグインをダウンロードできる。
Movable Typeの導入入手には登録が必要
Movable Typeの動作に最低限必要なソフトウエアを表1[拡大表示]に示す。Red Hat Linux 9に導入する場合を例に,rpmパッケージが存在するものは,それを挙げている。このうち,Movable Type本体のダウンロードには,専用のダウンロード・ページ(http://www.movabletype.org/download.shtml)でユーザー名やメール・アドレスなどを登録(無償)する必要がある。参考までに筆者が同ページに入力した情報を図1[拡大表示]に紹介する。
これらのソフトウエアをダウンロードしたら,設置するWebサーバーに,FTPなどを使ってアップロードする。ここから先は,サーバー上で作業を行う。
今回は,Movable Typeをユーザー・ディレクトリに設置する例を紹介する。具体的には,/home/user/public_htmlディレクトリ以下でCGIが実行できる設定であると仮定し,そこにMovable Typeを設置してみることにする。