オープンソースのコンテンツ管理システムの採用が広がっている。機能の豊富さや,日本語対応の充実などから普及しているのがXOOPS(ズープス)だ。運用や構築のコスト削減をなど目的として,企業ホームページや販売サイトに併設する情報/コミュニティ・サイトでの利用が進んでいる。

表1●おもなオープンソースのコンテンツ管理システム(CMS)
図1●コンテンツ管理システムの機能
Webブラウザのフォームからテキストや画像を登録すれば,設定されたレイアウトに従い表示してくれる。コンテンツの一覧を新着順やジャンルなどで分類して表示したり,検索することも可能。管理画面からは,管理者がレイアウトや機能の設定,ログの閲覧などを行う。ユーザー登録・管理機能を備え,掲示板やアンケートなどの機能を持つものもある
写真1●XOOPS
XOOPS日本公式サイト(http://jp.xoops.org/)。公式サイト自体XOOPSで構築されており,誰でもその機能を使用してみることができる

 オープンソースのコンテンツ管理システムの採用が広がっている(表1[拡大表示])。コンテンツ管理システムとは,Webコンテンツの登録,表示,さまざまな分類に基づいた一覧表示や検索といった機能を持つソフトウエアである(図1[拡大表示])。Contents Management Systemの頭文字をとって「CMS」と呼ばれることも多い。

 コンテンツを登録する際には,Webブラウザのフォームにテキストや画像といった材料を書き込むだけで,設定されたレイアウトにしたがって表示してくれる。HTMLエディタなどを使いHTMLファイルを作成する必要はない。

 各ページにはヘッダー(上部),サイド・メニュー(側面),フッター(下部)といった要素や,スタイルシートによるレイアウト指定が自動的に付加されるため,サイト全体でデザインを統一することができる。デザイン変更にはCMSの設定を変更すればよく,各HTMLファイルをいちいち変更する必要はない。

 コンテンツの一覧を,新着順や,登録の際に設定した属性データなどで分類して表示することもできる。コンテンツの検索機能を備えたソフトウエアがほとんどで,コンテンツの登録の際に設定したデータからの検索や全文検索が可能。管理画面からは,レイアウトや機能の設定,ログの閲覧などを行う。

 ユーザー登録や管理機能を備えたソフトウエアも多く,コンテンツの登録や変更などの権限を管理できる。そのほか,掲示板やアンケートなどの機能を持つものもある。ユーザー管理や掲示板機能により,コミュニティ・サイト構築ツールとして認知されているものも多い*1

日本人が主要な開発者のXOOPS

 オープンソースのCMSは多数リリースされている。その中でも,日本国内で最近急速に普及しているのがXOOPSである(写真1)。日本の公式サイトには,XOOPSを導入したサイトが2月16日時点で275サイト登録されている。本家となる英語の公式サイトにも,2月上旬時点で約248サイトが登録されている。そのほか,各国語の公式サイトにも,多くの利用サイトが紹介されている*2

 XOOPSは,PHP-Nukeと呼ばれるオープンソースCMSの改良版であるmyPHPNukeを母体として,「アーキテクチャを改良し,機能(モジュール)を容易に追加できる次世代バージョンとして開発された」(XOOPS開発チームの中心メンバー,マイウェブジャパン 代表 小野和巳氏)。2002年1月にプロジェクトが発足し,現在では英語のほか,日本語,中国語,フランス語,ドイツ語など,十数カ国語による公式サイトが開設されている。

 機能の豊富さや,インストーラが用意されており導入が容易といった点に加え,メインの開発者に日本人がおり,日本語の取り扱いに関する問題がほとんどないことが大きい。PHPとMySQLという,オープンソースの標準的な開発環境で構築されていることもある。

 XOOPSを使用しているサイトの例を表2に示した。このほか,前述のように多くのコミュニティや個人ユーザーが使用している。

(高橋 信頼=IT Pro)