米Googleが米国時間10月14日に提供を開始した「Google Desktop Search(ベータ版)」が米メディアで話題になっている。何が話題かというと,同ソフトがいかに便利ということではなく,もっぱら,いかに危険かという話である。同ソフトは,ユーザーのパソコン内にある電子メール,Webページ履歴,文書ファイル,インスタント・メッセージングの内容を対象に,一括検索できるというもの(関連記事)。

 これまで同社が提供してきたネット検索の利便性をローカルのハード・ディスク装置(HDD)にももたらすというもので,この手法は近い将来の主流となると考えられている。それだけに一連の米メディアの評価は残念な気がする。今回はこのGoogle Desktop Searchについて考えてみたい。何が便利で何が危険なのか,また今後のデスクトップ検索はどのような形になっていくのか――。

■「これぞGoogle」と実感!

写真1●Google Desktop Searchのホームページ
ユーザーのデフォルト・ブラウザを使って表示される。左のボタンを押せば,自分のパソコン内だけで検索。右のボタンを押せば,パソコン内検索とネット検索を同時に行う
写真2●パソコン内とネットを同時に検索
検索結果は1つの画面で表示される。パソコン内の検索結果には,カラフルで渦巻きの形をしたGoogle Desktop Searchのアイコンが付く
 まず,Google Desktop Searchをどう使うのかについて見てみたい。Google Desktop Searchの実体はアプリケーション・ソフトで,同社のWebサイトからダウンロードしてインストールする。インストールが終了すると,ユーザーのパソコンのアイドル時間(30秒以上)を見つけて索引を作成し,それをHDD内に保存する。索引の対象となるのは,「Outlook」「Outlook Express」「IE(Internet Explorer)」「AIM(AOL Instant Messenger )」の履歴と,テキスト(.txt),「Word」「Excel」「PowerPoint」などの文書ファイルである(注1)

注1:Google Desktop SearchのFAQページによると,必要となるHDDの空きスペースは500Mバイト。ソフトの容量はわずか400Kバイトなので,そのほとんどが索引のために使われることが分かる。なお索引の保存場所は「C:\Documents and Settings\USERNAME\Local Settings\Application Data\Google\Google Desktop Search」

 検索のインタフェースとなるのは,ユーザーがデフォルトで指定しているWebブラウザだ。まず,デスクトップ上でGoogle Desktop Searchのアイコンをクリックすると,同サービスのホームページがブラウザで表示される(写真1[拡大表示])。次に,検索ボックスに文字列を入力するのだが,このとき左の「Search Desktop」ボタンを押せば,検索は自分のパソコン内だけで行われる。右の「Search the Web」ボタンを押せば,パソコン内とネット検索を同時に行い,結果を1つのページに表示する。

 これは,1つの検索文字列を同時に2つのプログラムに送ることで実現している。1つはネットを介して,Google社の通常の検索サービス「Google Web Search」に送られる。もう1つは,Desktop Searchのアプリケーションへ送られる。検索結果ページでは2つの結果をマージする。パソコン内の検索結果は上に表示し,その下にネット検索の結果が来る(写真2[拡大表示])

 こうして見てみると,Google Desktop Searchは実にGoogle社らしいサービスと言えないだろうか。まず,ユーザー・インタフェースにWebブラウザを使ったという点,そしてローカルHDDの検索を,ネット検索と同じような使い勝手で行うという点。しかもこの2つを融合させたところは,まさにGoogle社らしいやり方で,「これぞGoogle」と感心してしまう。

 次に,Google Desktop Searchの何が問題視されているのかを見てみよう。