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米国最新IT事情

ついに宇宙の全事象を解明!? Wolframの新著「A New Kind of Science」が論争を呼ぶ

小林雅一 2002/05/20 ITpro

 米国のコンピュータ科学者Stephen Wolframの新著「A New Kind of Science」(出版元:Wolfram Media)が,世界の科学界で論争を呼んでいる。Wolframは1970年代後半に素粒子物理学者として頭角を表わし,80年代に入るとコンピュータ科学に転向,いくつかの際立った業績を挙げて,天才と呼ばれた。

 当時の彼が残した最大の成果は,Automataと呼ばれるアルゴリズム理論にまつわるもので,これは最新の成果であるA New Kind of Scienceの出発点ともなっている。

10年を費やして新著を執筆

 Automataは元々,現代コンピュータの生みの親,Von Neumannらが考案したアイディアだが,Wolframは単なるゲーム的な色彩の強かったオリジナルのアイディアを,学術的に分類・整理して科学的方法論へと昇華させた。Automataの基本は,「極めてシンプルなアルゴリズムをコンピュータに繰り返し計算させると,異常に複雑なパターンへと発展し,これが自然界のすべての事象を説明する」という考え方にある。

 80年代にこれが話題になった時には,例えば「雪の結晶」「巻貝の模様」あるいは「相対性理論に基づく歪んだ時空間」など,自然界の様々なパターンが,確かにそうした「繰り返し計算」によって生成され,Wolframの主張を裏付けるものとされた。しかし彼の考え方は,科学界の主流からは「異端」としてしりぞけられた。

 Wolframはその後,Mathematicaというワーク・ステーション上でのCalculus(微積分を中心とする解析計算)ツールを開発し,これが商業的な成功を納めて,かなりの富を蓄えた。このお金を元手に科学計算用のソフトウエア開発会社を興し,これが軌道に乗ると事実上,経営の現場から身を引いた。

 そして90年代に入ると,Wolframは全く沈黙してしまう。悠悠自適の身になった彼は,生活の全時間を費やして思索と計算に没頭し,宇宙の原理を解明するための仕事に打ち込んだ,とされる。10年の努力の成果として出来あがったのが「A New Kind of Science」で,Wolfram本人はこれを「NewtonのPrincipiaに匹敵する科学的金字塔」と自負しているという噂もある。

「宇宙を支配する原理は,わずか数行のプログラム・コードに過ぎない」

 「A New Kind of Science」の考え方によれば,これまで数千年をかけて発展してきたすべての科学は,ある意味で全く見当外れの方法に頼ってきた。物理学,化学,生物学から心理学,さらには様々な社会科学まで,既存の学問的領域は本来,そのように分類されるべきではなかったというのだ。

 これらの科学領域の様々な現象は,実はその根底において同一のアルゴリズムに支配されており,これを色々なやり方で反復計算することによって,各領域の複雑な現象が生成されるという。「宇宙のすべてを支配する原理は,わずか数行のプログラム・コードに過ぎない」とWolframは見ている。

 このように「既存の学問体系を完全に破壊し,全く別の原理に従って自然界を理解する」という意味で,「A New Kind of Science」と呼んでいるのだ。

 Wolframの考え方は,コンピュータ万能の理論とも言える。物理学や数学を中心にした伝統的な科学は,方程式を基本にして演繹的に導かれるが,Automataでは単純なプログラム・コードを反復計算することによって,いわば帰納的に導かれる。

 ニュートンらが活躍した17世紀には,現在のような進んだコンピュータが存在しなかったから,当時の科学者は演繹的手法(数式計算)に頼らざるを得なかった。すなわち歴史的には必然だが,科学的には偶然である。むしろ本当に正しい科学の方法は,現在のようなコンピュータを駆使したアルゴリズム演算である,というのがWolframの主張である。

伝統的な科学界からは猛烈な反発をくらう

 彼の思想はあまりにも革新的なので,伝統的な科学界からは猛烈な反発をくらっている。「A New Kind of Science」を1ページも読んでみる前から,「馬鹿馬鹿しい」と一笑に付す物理学の大御所もいるという。

 つまりWolframを取り巻く環境は,80年代にAutomata理論を唱えた時とあまり変っていない。しかし,今回の彼は10年以上をかけて,まるでジャーナリストのように入念なインタビューをして,自然科学から社会科学まで様々な分野の専門家から意見を取り入れ,それに基づいて理論を強化した。

 1200ページを超える大著「A New Kind of Science」が,これからどんな評価を受けるかは「神のみぞ知る」だが,ご本人は「この本を完全に理解するには,一生かけて読んでほしい」と言っている。

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