「Enterprise JavaBeans(EJB)」の規約に従うWWWサーバー向けソフト部品の国内開発を支援するコンソーシアムを日本IBM,富士通などが10月6日に設立する。日本IBMと富士通以外で発起人となるのは,国内ベンチャーのイーシー・ワン(EC-One,本社:東京都港区),エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションウェア(NTTコムウェア,本社:東京都港区),川鉄情報システム(KSD,本社:東京都江東区),日立ソフトウェアエンジニアリング(日立ソフト)の4社。会長にはNTTコムウェアの松尾勇二社長が就任し,団体名称は12月の総会で決めるという。

 コンソーシアムの目的は,EJBコンポーネントの国内開発支援。このために特定ベンダーのJava開発環境に依存しないコンポーネントの開発ガイドラインやドキュメント作成のガイドラインなどを規約として策定し,無償で一般公開する。

 各社が提供しているEJBの開発/実行環境はいずれも米Sun Microsystemsが定めた仕様に沿ったもの。ただし,仕様の解釈方法やベンダーの製品開発方針の違いなどがあるため,あるベンダーの開発環境で動作しているEJBコンポーネントがほかのベンダーの開発/実行環境で動作するとは限らない。各社の開発/実行環境で動作するEJBコンポーネントを開発するためのノウハウをガイドライン化することによって,いったん開発したEJBコンポーネントを開発者同士で融通し合える環境を確立するのがコンソーシアムを結成する各社の狙いだ。

 ECサイトやマーケットプレイスの構築などでは,3カ月程度の開発期間でシステムを稼動させることが要求される場合が国内でも多くなってきている。ECサイトの構築などに使うEJBコンポーネントの組織を超えた再利用を促進させることで,ソフト開発期間の大幅短縮と効率化を図るのがコンソーシアムの目指すところだ。

 コンソーシアム結成で中心的な役割を果たした日本IBMと富士通は開発ガイドラインの暫定版をすでに作成済み。コンソーシアムを結成後に会員からの意見を反映させた正式版を12月までには策定して公開し,さらにドキュメント作成ガイドラインも2001年4月までには公開できるようにする予定だ。

 またコンソーシアムでは,EJBコンポーネントの開発者を支援する規約作りなどを話し合うデザイン部会を設置する予定。EJBコンポーネントの可搬性を高めるためのガイドラインばかりでなく,部品の再利用性を高めるための開発ガイドラインや部品の組み合わせによるソフト開発のガイドラインの策定についても検討していく。ただし,提供ベンダーにとって価値の源泉となりうるソフト部品の規格化などは対象外。あくまでEJBコンポーネントを開発するための基本的なノウハウ共有を目的として活動を開始する。

 コンソーシアムの活動期間は3年間。2003年9月末までには全規約の策定を完了し,活動を終える予定。(佐藤 康朗=IT Pro編集)


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