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エンターキナー,韓 芝馨

 韓国の携帯電話会社は「モバイル・ゲーム」の配信サービスに力を入れている。モバイル・ゲームとは,携帯電話機にインストールしてプレイするゲーム・ソフトのこと。韓国の代表的な携帯電話会社の一社である「KTF(www.ktf.co.kr)」は4月4日,モバイル・ゲームを提供するポータル・サイト「GPANG(www.gpang.com。「ジパン」と読む)」をオープンした。1週間後の4月11日には,「SKテレコム(www.sktelecom.co.kr)」もゲーム・ポータル・サイト「GXG(www.gxg.com)」を公開した。

 モバイル・ゲームのポータル・サイト自体は珍しくない。すでにいくつか提供されている。だが,GPANGやGXGで提供するモバイル・ゲームは従来のものとは異なる。専用の携帯電話機を使用することで,最大100Mバイトのゲーム・ソフトを楽しめる。PC経由でダウンロードできることも特徴的だ。これらの特徴から分かるように,KTFやSKテレコムはゲーム・コンテンツ・ビジネスに本腰を入れている。

 そこで本稿では,GPANGやGXGといった“新世代”のゲーム・ポータル・サイトを紹介するとともに,携帯電話会社のコンテンツ・ビジネス戦略や韓国のモバイル・コンテンツ・ビジネスの現状および今後を考えてみたい。

フル3Dのネットワーク・ゲームが可能に

 GPANGやGXGの特徴は次の通り。(1)大容量(最大100Mバイト)のモバイル・ゲームを提供する,(2)ゲームをプレイするには専用の携帯電話機を必要とする,(3)PC経由でもゲームをダウンロードできる――の3点。

 まず(1)について説明しよう。従来のモバイル・ゲームのファイル・サイズは,最大0.5Mバイト程度だった。このため,それほど複雑なゲームは提供できなかった。GPANGやGXGでは,最大100Mバイトのゲームを提供できるので,フル3Dゲームやオンライン・ネットワーク・ゲームなどを提供できる。

 その分,ゲームを利用するための「情報料」は従来のモバイル・ゲームよりも高価だ。従来のゲームの2~4倍(4000~7000ウオン)になる。なお,ゲームによっては「追加拡張パック(1000~2000ウオン)」や「アイテム(ゲーム中で使用する道具など。500~1000ウオン)」を追加購入する必要がある。

 なお,GPANGやGXG向けのコンテンツ・プロバイダには,従来のモバイル・ゲーム・メーカーに加えて,家庭用ゲーム機向けおよびPC向けのゲーム・メーカーが参加している。

 従来のモバイル・ゲームは,ほとんどのブラウザ対応携帯電話機でプレイできる。だが,GPANGやGXGで提供されるゲームは,通常の携帯電話機ではプレイできない。(2)で書いたように,GPANGやGXGのゲームをプレイするには,専用の携帯電話機「ゲームフォン」を必要とする。

 ゲームフォンは,ポータル・サイトのオープンと同時に,Samsung電子やLG電子が販売を開始した。Samsung電子は,GPANGに対応した「SPH-G1000」およびGXG対応の「SCH-G100」を発売した。LG電子は,GXG対応の「SV360」を投入した(下写真。上段がSamsung電子の「SCH-G100」,下段がLG電子の「SV360」)。このほか,「Pantech」や,SKテレコムの子会社である「SK Teletech」といったメーカーも,5月にはGPANGやGXG対応のゲームフォンを投入すると発表している。


 市場に出ているゲームフォンは,モバイル・ゲーム機(ゲーム専用端末)とよく似たユーザー・インタフェースを備える。また,3Dハードウエア・アクセラレータや3Dエンジン,130万画素のカメラやMP3プレイヤ機能も搭載している。